Quantcast
Channel: 混沌の時代のなかで、真実の光を求めて
Viewing all 1047 articles
Browse latest View live

早期帰還者に90万円 帰還困難区域の移住者も   賠償上乗せ

$
0
0
 
 
 
                                                                 福島民報   2013年12月21日
 
 政府は20日、原子力災害対策本部⋆1会議を開き、東電福島第一原発事故からの復興指針
を決定した。
 
 避難指示解除後1年以内に帰還する住民に、「早期帰還者賠償」として1人当り90万円程度
を支払う。列車、バスなどの不通による交通費の増加分などに充てることを想定している。
 一方、避難指示の長期化が予想される帰還困難区域の住民には、移住先での住居確保の
ため賠償金を上乗せすると明記した。
 早期帰還者賠償は、原発事故発生から4年後の平成27年3月までに避難指示の解除される
地域が対象。 政府は、早期帰還に向けた取り組みをまとめた「 早期帰還・定住プラン 」の
実施目標を「 今後1、2年 」としたことなどを踏まえ時期を決めた。
 比較的早期の避難指示解除が見込める 「居住制限」 「避難指示解除準備」 両区域では、
原発事故前より遠距離の通勤・通学、タクシーなどによる通院、買い物を強いられる帰還者が
出ることを想定し、生活費増加分として 90万円程度が適当と判断した。
避難指示を解除した市町村単位で 住民から早期帰還者賠償の申請を受け付ける。支払いに
際しては、実際に 自宅に戻り生活していることを、どう確認するかが課題になるとみられる。
復興指針には、帰還者それぞれの外部被曝線量の把握・管理を強化する方針も盛り込まれた。
希望者に個人線量計を配布するとともに、測定結果に応じて被曝低減策などを指導する相談員
を配置し、帰還者の健康不安解消につなげる。また、相談員の活動や資質向上を支援する拠点
も整備するとしている。
 居住制限、避難指示解除準備両区域の精神的損害賠償は 避難指示解除後1年で打ち切る。
 会議で安倍晋三首相は「 今年8月に 全ての市町村で区域見直しを終えたが、全体の動きは
残念ながら遅れている 」との認識を示した上で、関係閣僚に「 地元と十分に協議し、被災者の
生活再建と関係自治体の再生の道筋を具体化してほしい 」と指示した。
 政府は 避難指示解除から1年以内に帰還する住民の生活支援に向け、1人当たり90万円を
支払う。ただ、道路や上下水道といった社会基盤の復旧が遅れることも予想され、自宅に戻り
日常生活を始めることができるかどうかは 不透明だ。
 最も早い解除が見込まれる田村市都路町の避難区域は 道路や水道などが ほぼ復旧して
いるが、双葉郡内などでは 復興需要による作業員の人手不足で、手付かずの地域も多い。
社会生活を営むには、医療機関や商業施設の再開も不可欠だ。
 新たな賠償は 避難指示解除後1年以内に帰還した住民が対象となるが、期間内で復旧・復興
事業が進み、原発事故前の生活環境に戻る保障はない。
県幹部は「 わずか1年で安定した生活環境を整えるのは困難 」とみて、政府に帰還者支援の
さらなる強化を求める考えだ。
 一方、帰還困難区域については 移住支援策を打ち出すだけでなく、帰還の判断材料となる
放射線量の見通しなどを示し地域の将来像を地元と検討するとした。しかし、帰還希望は減少
している。 今年10月の大熊町民を対象にした調査では、約7割が「戻らない」と回答した。
古里に帰るのか、移住するのか。住民の考え方は 多様で、きめ細やかな支援を続けることが
政府の責務だ。
 
 
 
 
 
 
  ⋆1 原子力災害対策本部は、3月11日に発生した東京電力株式会社福島原子力発電所の
   事故について、原子力緊急事態に係る緊急事態応急対策を推進するため、原子力災害
   対策特別措置法(平成11年法律第156号)に基づき設置されました。
 
   第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に
       定めるところによる。
    原子力災害 原子力緊急事態により 国民の生命、身体 又は財産に生ずる被害をいう
 
   第四条 国は、この法律又は関係法律の規定に基づき、原子力災害対策本部の設置、
      地方公共団体への必要な指示その他緊急事態応急対策の実施のために必要な措置
      並びに原子力災害予防対策 及び原子力災害事後対策の実施のために必要な措置を
      講ずること等により、原子力災害についての災害対策基本法第三条第一項⋆2の責務
      を遂行しなければならない。  
       ⋆2 第三条 国は、前条の基本理念にのつとり、国土 並びに国民の生命、身体及び
        財産を災害から保護する使命を有することに鑑み、組織 及び機能の全てを挙げて
        防災に関し万全の措置を講ずる責務を有する。
 
    災害対策基本法の「前条の基本理念」を読んでみてください。
    国は 果して この法律が定める事柄を、「誠意をもって」責務を遂行したかどうか?
    法律から逸脱した行動をとっていないかどうか?
    原子力事業者は、「誠意をもって必要な措置を講ずる責務を有する」(原災法第三条)
    が、国は 責務を遂行しなくてはならないけれども、「誠意をもって」 するを要しないと
    いうのであろうか?
    そもそも この「誠意」or「責務」は、誰に対する誠意or責務なのであろうか? 
    国(=行政)に対してなのか、被災民に対してなのか、銀行や経済界に対してなのか、
    或は 原子力基本法⋆3に対する責務なのであろうか?
 
    ―――多くの言葉をもって語られている様々な法律は、その全体構造を見なくては
    「国土 並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護する使命」というのも、額面通り
    に聞くと 当てが外れてしまう。
    いかに 国土が失われ、身体・財産が守れなくても、国の使命は遂行できるのである。
    なぜなら、国の使命は 原子力を推進することにある⋆3からである。
 
    ⋆3 原子力基本法
     第一条  この法律は、原子力の研究、開発及び利用(以下「原子力利用」という)を推進する
      ことによつて、将来におけるエネルギー資源を確保し、学術の進歩と産業の振興とを図り、
      もつて人類社会の福祉と国民生活の水準向上とに寄与することを目的とする。
 
    国(=行政官)は、法律に対する責務は持たなくてはならないが、国民(日本の共同体)
   或は 倫理・道理に対する責任をもつことを要請されてはいない。
   ――― ここに、近代国民国家(に括り付けのビューロクラシー)の限界があり、
   行政官の、日本の共同体(私は、これをこそ 「国」と呼びたい)⋆4 に対する僭称がある。
 
     ⋆4 日本の共同体とは、数千年にわたる代々の営みを孕み、未来の世代の共同体
      に責任を持つ 現在の我々の共同体のことであって、今の世代だけの利害共同体の
              ことではない。
      私は、このような その時代の国家体制を超えた 過去・現在・未来を包括した共同体
      として、これを「日本国」と呼びたい。
     
 
 
 
 
 
      政府インターネットテレビ
          現在、この番組は公開されていません。
 
 
   第33回原子力災害対策本部会議、第3回原子力防災会議事後ブリーフィング
   日時:12月20日(金)12時~
   場所:原子力規制庁2階記者会見室
   ブリーファー:経産省資源エネルギー庁 原子力発電所事故収束対応室 新川達也室長(P)
            電力・ガス事業部政策課 伊藤禎則企画官(P)
            原子力政策課 山口仁原子力政策企画調査官(P)
            内閣府 原子力災害対策本部 原子力被災者生活支援チーム 
                                      戸高秀史参事官 井上博雄参事官
                 内閣府原子力災害対策担当室 金子修一参事官
 
   配布資料
    第33回原子力災害対策本部会議・第3回原子力防災会議合同会議 議事次第
             
http://www.ourplanet-tv.org/files/131220-01.pdf
    資料1-1 廃炉・汚染水問題に関する追加対策の概要(案)
             
http://www.ourplanet-tv.org/files/131220-02.pdf
    資料1-2 東電(株)福島第一原発における廃炉・汚染水問題に対する追加対策(案)
             
http://www.ourplanet-tv.org/files/131220-03.pdf
    資料2-1 「原子力災害からの福島復興の加速に向けて」ポイント
             
http://www.ourplanet-tv.org/files/131220-04.pdf
    資料2-2 原子力災害からの福島復興の加速に向けて
             
http://www.ourplanet-tv.org/files/131220-05.pdf
    資料3-1 地域防災計画・避難計画等の充実に向けた取組状況について
             
http://www.ourplanet-tv.org/files/131220-06.pdf
    資料3-2 原子力総合防災訓練の実施について
             
http://www.ourplanet-tv.org/files/131220-07.pdf
    参考(原防)地域防災計画の充実に向けた今後の対応
             
http://www.ourplanet-tv.org/files/131220-08.pdf
    原子力災害対策本部構成員
             
http://www.ourplanet-tv.org/files/131220-09.pdf
 
 
 

 
                                                                                          2013年12月9日
  文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会は9日、東電福島第1原子力発電所の事故で
国が避難指示を出した区域の住民への賠償指針で素案を示した。 従来の慰謝料などに加え、
放射線量が高い帰還困難区域の住民(約25000人)などには 移住費用を追加するのが柱だ。
費用の水準や追加賠償の対象は 年内をメドに詳細を固める。
 
 この日の会議では、追加賠償の対象について4つの分類を示した。
大熊町などの帰還困難区域の住民には 住居や宅地の取得にかかる移住費用や避難の長期化
に伴う慰謝料を支払う方向だ。
その他の避難指示区域でも、就労や治療など移住の合理的な理由があれば住居・宅地の取得
費用を支払う。 一方、帰還する住民には 住居の修繕費などを支払う。
 ただ 移住費用の水準については原賠審の委員の間で意見が割れている。移住費用の支払い
を帰還困難区域以外の住民にも広げるべきだとする意見もあり、調整が難航する可能性もある。
 
 
                           (未完成)

放射線健康不安~環境省(1)

$
0
0
 
放射線の健康影響に関する専門家意見交換会
 
    動画の配信について
     なお、会議の様子については、当日動画配信する予定です。
       (URL: http://www.nsra.or.jp/safe/adviser/live.html)
     「 ただいま 停止中です 」
 
 
     環境省は、12月21日開催の「放射線の健康影響に関する専門家意見交換会」及び
    12 ­月25日に開催の「第2回東電福島第一原子力発電所事故に伴う 住民の健康管理
    のあり方に関する専門家会議」の取材に関し、「カメラ撮りは会議の冒頭 ­のみ」と限定
    しており、会議自体のビデオ撮影を認めていない。
 
 
   ビデオ
        12月21日(土) 13:30~16:30 ホテルサンルート白河 富士の間
                                    福島県西郷村
    13:30~13:40 開会・あいさつ
    13:40~14:20 講演「県民健康管理調査『甲状腺検査』について」
        公立大学法人 福島県立医科大学医学部甲状腺内分泌学講座 教授鈴木眞一 氏
    14:20~15:00 講演「放射線による発がん影響-甲状腺およびその他のがん-」
        国立大学法人 岡山大学環境生命科学研究科人間生態学講座 教授津田敏秀 氏
    15:00~15:15 休憩
    15:15~16:15 講師、専門家(県アドバイザー、市町村アドバイザー)による意見交換
    16:15~16:30 閉会
     ※ファシリテーター:環境省環境保健部放射線健康管理担当参事官桐生康生
 
 
 
   ■ 福島の子のがん、被曝との関連は結論出ず 専門家会議
                           朝日   12月21日(土)
     福島県の子ども59人で甲状腺がんやその疑いが見つかったことについて、環境省と
    福島県は21日、専門家の意見交換会を開いた。東京電力福島第一原発事故による被曝の
    影響が現時点で現れていることを否定する意見が多く出た一方で、「被曝による多発」を疑う
    指摘も出された。県などは今後の検査結果も分析して、被曝との関係を詳しく調べる方針だ。

     甲状腺検査は事故当時18歳以下を対象に行われ、9月30日現在で約23万9千人のうち
    59人ががんやがんの疑いと診断された。うち1人は良性だった。

     検査を行っている県立医大の鈴木真一教授(甲状腺外科)は、これまでに見つかったがん
    やがん疑い例について「被曝の影響とは考えられない」と話した。その根拠について「がんが
    見つかった子どもの年齢分布も10代後半が多く、若年齢が多いチェルノブイリとは異なる」
    などと説明した。

     これに対し、
    岡山大の津田敏秀教授(疫学)は、国内のがん登録の結果から、10代後半~20代前半の
    甲状腺がんの年間推計発生率は、「平均(1975~08年)は100万人当たり5~11人」と指摘。
    その上で「福島の子どもの甲状腺がんの発生は数倍~数十倍高く、多発と言える。今後さらに
    増える可能性もあり、今のうちに対策をとるべきだ」と主張した。

     津田さんの指摘に対して、
    県立医大の大平哲也教授(疫学)らから、福島の検査と「がん登録」と比較をするのは、科学的
    に不適切などと批判が出た。 がん登録で集計されるがんは主に、症状が出てから受診して
    見つかったものだが、福島の検査は、無症状の子どもを網羅的に調べており、より早期に多く
    見つかる傾向があるからだ。

     郡山市医師会理事で小児科医の太神和広医師は「県外の子供に大規模な甲状腺の検査を
    して比較すべきだ。そうすれば1年以内に科学的な結論が出る」と訴えた。環境省は、長崎や
    青森の子どもの甲状腺検査を行ったが、対象は4500人だけで、これまで、がんは見つかって
    いない。
 
 
  <鈴木眞一医師
 結節性甲状腺疾患
  1.悪性腫瘍: 乳頭がん、濾胞がん、髄様がん、未分化がん、甲状腺悪性リンパ腫
  2.良性腫瘍: 濾胞腺腫、腺腫様甲状腺腫(腺腫様結節)
 
 小児甲状腺がんについて
  1.甲状腺がん全体の1%未満
  2.年間、人口100万人当り 1~2名発生
  3.乳頭がんが多い
  4.リンパ節転移や肺転移が多いが、予後は成人と比べ良好
  5.放射線誘発甲状腺がん
 
 甲状腺分化癌の頻度は?  
  ・10歳未満 :100万人に1人、 10~14歳 :20万人に1人、 15~19歳 :7.5万人に1人
  ・思春期以前 男性 : 女性  =1 : 1、 思春期以降 男性 : 女性  =1 : 4
 
 小児甲状腺癌の特徴
  ・リンパ節転移 40~90%  (成人は 20~50%)
  ・肺転移     20~30%  (  〃   2%)
  ・30年生存率  90~99% 
 
 小児甲状腺癌or小児濾胞癌は、成人例と比して 予後に差があるか? 
  小児甲状腺癌は 成人と比較して 長期の生命予後は良好である。 その中で、小児乳頭癌
 は、診断時に進行した癌であるように見えても、適切な治療によって 良好な長期の生命予後
 が得られる。 小児濾胞癌は 報告例が極めて少ないが、予後は良好と考えられる。
 
 外部被曝線量
  基本調査の結果(H25年7月31日現在 451364名)
   1m㏜未満: 66.1% 2m㏜未満: 28.8% 3m㏜未満: 4.5% ・・・99.4%
   4m㏜未満:  0.3%  5m㏜未満:  0.1%            ――― 以上 99.8% 
   最大25m㏜ 1名 (相双地区 計画的避難区域に長期間居住)      
 
 初期内部被曝線量の再構築
  ・福島県民全体の甲状腺預託等価線量の中央値: 10m㏜未満 
   比較的高い地域においても 90パーセンタイル値は 30m㏜程度と推計された
   ◎1歳児の放射性ヨウ素による甲状腺預託等価線量の90パーセンタイル値(m㏜)
    南相馬:20、 浪江:20、 双葉:30、 大熊:20、 富岡;10、 楢葉:10、 広野:20、
    いわき :30、 川内:10未満、 葛尾:20、 川俣:10、 飯館:30、 その他:10未満
                    ――― 第2回国際シンポジウム 2013年1月  放医研
  ・等価線量の積算線量(2011年3月12日6:00~4月24日0:00までのSPEEDIによる試算値
    1歳児 :1日24時間戸外にいるという厳しい仮定で 100m㏜
     ※ 甲状腺がんの発症するリスクは、甲状腺に100m㏜以上の被曝から増加
  ・いわき・川俣・飯館の子供1080名(0~15歳)の甲状腺被曝線量推定
        現地災害対策本部実施(第67回原子力安全委員会資料)
 
 
    【ウィーン共同】東京電力福島第1原発事故の健康への影響を調査している国連科学委員会
   は31日、放射性ヨウ素による周辺住民の甲状腺被ばく線量(等価線量)について、影響を受け
   やすい1歳児でも最大数十m㏜で、ほとんどが50m㏜を大きく下回ったとする推計を発表した。
   将来、事故による被ばくを原因とする 「がん患者の増加は考えられない」 とした。
       委員会は事故当時、周辺住民が素早く避難したことで、被ばく線量が10分の1程度に減ったと
   指摘。放射性物質で汚染された食品の摂取が早い段階で防げたことも被曝の低減につながった
   とした。                                    (共同通信)
                  下線は 鈴木氏が付す
 
 この甲状腺癌は原発事故の影響で起こったもの?
 1.福島での線量は チェルノブイリと比較して 圧倒的に低い
    (最大でも5m㏜を超える小児はいない?)
 2.甲状腺癌発症は、震災時居住地域における明らかな地域差は認められない
 3.甲状腺癌診断時の年齢分布は、放射線非被曝群における年齢分布に近い
 4.福島での甲状腺癌は、これまで本邦診断された腫瘍径よりも小さい段階で診断されている 
 5.チェルノブイリで認められた乳頭癌亜型は認められていない。
 
 
 
 
 


 
  
 第5回原子力被災者等との健康についてのコミュニケーションにかかる有識者懇談会
                          平成24年10月18日
 
 

 
 
    平成24年度「原子力災害影響調査等事業(放射線による健康不安の軽減等に資する
  人材育成事業及び住民参加型プログラムの開発)」では、福島県及び近県6県(岩手県、
  宮城県、栃木県、茨城県、群馬県、千葉県)にて、保健医療福祉関係者や教育関係者等を
  対象にした人材育成を実施しました(述べ1,524名)。
    また、放射線と健康に関する福島県及び県内市町村の専門家(アドバイザー)を対象として、
  知見集積のための情報交換を目的とした研修会を実施しました。
 
 
 
   平成23年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理
  については、国が拠出した基金を活用し、福島県が県民健康管理調査を実施しているところ
  であるが、福島近隣県を含め、国として健康管理の現状と課題を把握し、そのあり方を医学
  的な見地から専門的に検討することが必要である。
   また、「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り
  支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(平成24年6月27日
  法律第48号)において、国は放射線による健康への影響に関する調査等に関し、必要な
  施策を講ずることとされている。
   これらの状況を踏まえ、線量把握・評価、健康管理、医療に関する施策のあり方等を専門
  的な観点から検討するため、「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理
  のあり方に関する専門家会議」を環境省総合環境政策局環境保健部に設置する。
 
 
                          (未完成)
 
 
 
 
 
 
 

原発ビジネス

$
0
0
 
 
                                                              日本経済新聞       2013年11月11日
 
 トルコへの原発輸出が注目を集めている。三菱重工業などが参加する国際コンソーシアムが
10月30日、トルコ政府と原発建設のフィージビリティースタディー(FS=事業化可能性調査)の
枠組みについて正式合意に達した。
  5月と10月、半年間で2回も同国を訪問して プロジェクトを後押しした安倍晋三首相は レジェプ
・タイープ・エルドアン首相との会談で 「大変喜ばしい」と笑顔で握手を交わした。
ただ、盛り上がる政府側とは裏腹に「 今後ファイナンスの枠組みや電力販売契約などについて
交渉を詰めていく 」と 三菱重工が同日公表したコメントは 慎重。
今後 FSに2年程度時間をかけ、採算性などに問題がなければ正式に契約を結ぶという。
確かに 「受注確実」 と手放しで浮かれられない事情が同社にはある。 米国での補修トラブルを
めぐる巨額賠償問題で浮き彫りになった「原発輸出リスク」である。 
 
■首相が受注の旗振り 
  トルコの原発プロジェクトの予定地は 北部の黒海南岸シノプ地区。 ここに 三菱重工と
仏アレバ社が共同開発した出力110万キロワット級の加圧水型軽水炉(PWR)「ATMEA
(アトメア)1」を 4基建設する。 2023年に 1号機が稼働予定で、総事業費は約220億ドル
(約2兆1700億円) を見込んでいる。
事業母体となる国際コンソーシアムには 三菱重工と伊藤忠商事、フランスの電力・ガス大手GDF
スエズ、トルコ国営電力会社(EUAS)の4社が出資する。
出資額は 合計約66億ドル(約6500億円)で、コンソーシアムの株式持ち分比率は EUASが
最大 49%、伊藤忠が 10%超とみられる。 出資額を超える事業費は 日本の国際協力銀行
(JBIC)や民間金融機関からの借入金などで賄う方針だ。
 
 トルコにとっては、地中海沿岸のメルシン地区で ロシア国営原子力企業ロスアトムの傘下企業
が受注しているアックユ原子力発電所 (120万キロワット級を4基建設。20~23年に1基ずつ
稼働予定。 総事業費200億ドル) に続く 2カ所目の原発プロジェクトになる。
 
  トルコは 昨年の1人当たり国内総生産(GDP)が 1万500ドル、10年間で 3倍の水準になる
など経済成長が著しく人口も増加。 発電用エネルギーの約7割を輸入に依存しており、03年の
就任以降、目覚ましい経済成長を実現してきた エルドアン首相は 電力安定供給を掲げて 一時は
中断していた原発建設に舵(カジ)を切り、現在は 30年に国内発電量の15%を原子力にする
計画を打ち出している。
 
 アックユ、シノプに続く 3カ所目の原発もトルコは予定している。建設地は未定だが、日本勢が
FSを実施することを 日本、トルコ両政府間で決定済み。 この3カ所目の原発について、トルコ
政府は 海外勢に全面発注するのではなく、国内勢の参加を想定。 そのための人材育成や技術
力強化に日本の協力を求めている。
先の安倍、エルドアン両首相の会談で署名された共同宣言に、両国の科学技術協力が盛り込まれ
たのはこのためだ。
 
 トルコの原発プロジェクトの総事業費は 1カ所あたり2兆円規模。 3カ所なら総額6兆円。
世界の原発メーカーが色めき立つのも無理はないが、一方で リスクの多さも際立っている。
 
 
 
 まず、トルコは 日本と同様に地震多発国である。過去半世紀に 1000人以上の死者が出た
大地震が7回発生。このうち 1999年8月に イスタンブールを含む北西部で発生したマグニチュード
7.6の地震では約1万7000人が死亡した。 この北西部地震からほぼ1年後の2000年7月、
当時のエジェビット首相は 地震専門家らの反対を受け、1997年から進めていたアックユ原発
の計画を白紙撤回している。  また、2011年3月11日の東日本大震災とそれに伴う福島第1
原発事故の直後には ギリシャのパパンドレウ首相(当時)が エルドアン首相に電話をかけ、トルコ
の原発計画を中止するよう要請したこともあった。
 
■地震国トルコ、原発反対運動も 
 トルコ国内にも当然、原発反対運動がある。 シノプ地区は 1986年のチェルノブイリ原発事故
で 小麦や生乳に放射能被害が及び、黒海産の水産物も風評被害に遭遇した経緯があり、
地元の農業、漁業関係者を中心に根強い反対運動がある。
原発建設で生まれる雇用や地元への助成金、さらに高い経済成長などで 反対運動の広がりは
限定的だが、その抑制効果も エルドアン首相率いる現政権の指導力に左右される。
 
 今年5月末にイスタンブールで起きた反政府デモは 五輪誘致をにらんで進められた都心の
再開発計画に対する環境活動家らの抗議 (公園の樹木伐採に反対する座り込み)がきっかけ
であり、そこに 現政権の強権政治に不満を持つ世俗派市民が合流して規模が拡大した。
高速道路や原発の建設にも批判の矛先が向いており、エルドアン 政権の リーダーシップ が揺らげば
これらのプロジェクトの先行きが 不透明になることは十分考えられる。
 
 
 さらに トルコの原発プロジェクトで懸念されるのは 度重なる計画変更やシビアな契約交渉。
シノプ原発を巡っては 2010年以降、最初に優先交渉権を持っていた韓国が 受注に際して
トルコ側の政府保証を求めたため 同年11月に決裂、次に 東芝や東京電力を中心にした日本勢
が交渉相手となったが、11年3月の福島第1原発事故で東電が撤退したため受注活動は白紙
に戻った。
12年2月 韓国の李明博大統領(当時)が トルコを訪問して韓国との交渉が再開したが、これも
首尾よくいかず、同年4月には エルドアン首相が訪中して原子力協定を締結。 一時は原子力
関係者の間で 「シノプは中国で決まり」 とまでいわれたが、昨年末から年明けにかけ、三菱・
アレバの日仏連合が新たに浮上。今年5月には 受注内定にこぎ着けた。
 背景には、サルコジ前政権時代には 欧州連合(EU)加盟問題などを巡って悪化していたフランス
と トルコの関係が オランド政権になって劇的に改善したことに加え、日本でも原発輸出に前向きな
安倍政権が誕生したことがあると解説されている。原発プロジェクトの政治色の濃さを象徴する
エピソードといえる。
 
 相手を目まぐるしく替える交渉術は 条件面のどん欲さの裏返しでもある。一部報道によると、
ロスアトムが受注した アックユ原発は 建設費が ロシア側の全額負担で 電力供給計画の保証義務
も負わせた。 トルコ電力卸売公社が 原発稼働後15年間の電力購入契約を結び、建設費相当額
を支払っていく。 スマートフォンやタブレット(多機能携帯端末)の分割払いの仕組みに似ており、
トルコ側の資金負担(調達コストなど)は 大幅に軽減される。これから本格化するシノプ原発の
ファイナンス交渉でも 同様の要求があると見て間違いなさそうだ。
 
 
 こうした原発セールスをめぐるディスカウント交渉は トルコだけの専売特許ではない。欧州や
アジア、中東などの各国の原発市場に フランス、ロシア、日本、中国、韓国、それに米国のメーカー
が ひしめき、それぞれ政府を巻き込んで 熾烈な受注競争を繰り広げている。
昨今、受注獲得が目立つのは ロシアと中国で いずれも国ぐるみの手厚い資金支援を売り物にし
ている。例えば、今年8月に決まった パキスタン南部カラチの原発計画(100kW級2基を建設)は
中国核工業集団(CNNCの受注が見込まれ、1兆円近い建設費の7割強を中国が融資する
と報じられている。
 
 そのCNNCは 10月半ば、中国国有企業である広核集団(CGN)と共同で英国南西部ヒンクリー
ポイント の原発新設計画 (仏アレバ社製の欧州加圧水型炉〈EPR〉を2基建設、23年稼働予定)
に参入することが明らかになった。 CNNCは 東芝傘下の米原発大手 ウエスチングハウス(WH)社
から技術導入して 中国国内で原発建設を進めている。
 
  これまで 英政府は 安全保障上の問題から中国企業の原発事業参入に難色を示していたが、
福島第1原発事故などをきっかけに 英国内の原発プロジェクト から撤退する企業が相次ぎ、暗礁
に乗り上げるケースが続出したことから 従来方針を転換。中国企業に門戸を開くことになった。
 ヒンクリーポイント原発は 当初、英電力・ガス会社セントリカ社 と フランス電力公社(EDF)の
共同事業だったが、今年2月に 「 コストと建設計画が不透明 」 との理由で セントリカ社が撤退。
残ったEDFが 新たな パートナーを探していた。 同原発の総事業費は 160億ポンド(約2兆5400億
円)。 EDFが 45~50%、仏アレバ社が 10%を それぞれ出資予定で、新たに加わった中国企業
2社の出資比率は 計30~40%になる見込み。
 このほか、エーオン、RWEのドイツ電力大手2社が 昨年3月、英国の原発事業から撤退。
両社合弁で設立した英原発会社ホライズン・ニュークリア・パワー社(英国内2カ所で最大6基の
原発新設を計画)は、日立製作所が 昨年11月、約890億円で傘下に収めた。
 
■原発離れ進む欧州の電力市場
 また、英国中部セラフィールド で 最大 360万KW(2~3基)の原発新設を計画していた英ニュー・
ジェネレーション(ニュージェン)社は 10年に 仏GDFスエズ社と スペイン電力大手イベルドロラ社、
英スコティッシュ・サザン・エナジー社が 共同出資で設立した原発会社だったが、11年 スコティッシュ
が撤退。 ここに来て イベルドロラも 保有株(50%)を すべて東芝の子会社WHに売却する方向
で交渉が進んでいる。東芝は GDFスエズ の保有株も一部買い取り、百数十億~200億円を投じ
て年内にも ニュージェンを傘下に収める方針。
 
 欧州の電力ビジネス市場では フランスを除く各国の企業が原発から距離を置き、その空白を
日本や中国のアジア勢が埋めている構図が浮かび上がる。
 日立は 3.11以降、日本国内での原発新設が見込めなくなったため、英国内で 4~6基の
新設計画を持つ ホライズン社買収に踏み切った。 だが、建設費だけで 投資額は 約2兆円と
巨額なため、17~18年に予定している着工までに、現在100%保有しているホライズン社株を
投資ファンドや電力会社に売却して出資比率を 50%未満に下げたい考えだ。
 
 ただ、欧州勢は及び腰な上、中国勢も 本来は メーカーのため製造が主体。「 ものづくりのうまみ
が無いし、ただでさえ日中合弁は難しい 」 と関係者は話す。 ホライズン社株売却が難航すれば、
日立は過大なリスクを抱え込むことになる。 「自動車メーカーが 需要確保のためバス会社や
タクシー会社を買うようなもの。うまくいく可能性は小さい」(重電担当アナリスト)との指摘もある。
 
 
 原発メーカーの リスク管理に大きな影を落としているのが、三菱重工が遭遇している米国での
巨額賠償問題だ。 同社は 09~10年に米カリフォルニア州にあるサンオノフレ原発に交換用の
蒸気発生器を納入したが、その配管が摩耗し 12年1月に放射性物質を含む微量の水が漏れ、
稼働を停止するトラブルがあった。
 
  同原発の事業母体である南カリフォルニア・エジソン社(SCE)は 再稼働を目指したが地元住民らの
反発で断念。今年6月に 2基の原発の廃炉を決め、損害賠償を 三菱重工に求める方針を通告
してきた。 10月半ばに明らかになったSCEの賠償請求額は 40億ドル(約3900億円)。
三菱重工は「 不適切な内容で根拠がない。契約上の責任上限は 1億3700万ドル(約135億円)
だ 」と反論しており、双方は 国際的な仲裁機関である国際商業会議所(パリ)で争う構え。
 
  三菱重工のみならず、原発メーカーにとって衝撃だったのは、契約で定めた賠償の上限を超えた
金額を請求されたことだろう。 この件では 米原子力規制委員会(NRC)も今年9月、三菱重工が
細管の摩耗を予測する シミュレーションで使用した「 コンピューターモデルが不適切だったことが、蒸気発生
器の設計の欠陥につながった 」 と文書で指摘している。
  海外の原発プロジェクトで 一旦 トラブルや事故を起こせば、国民の関心が強いだけに、官民
そろって責任追及に動くという現実を原発メーカーは見せつけられた。
 
 
 サンオノフレのケースは 原発先進国の米国が舞台であり、交換用部品の納入がトラブルの端緒
だったが、昨今の日本勢が受注活動に熱心な 欧州やアジア、中東の原発市場では事業母体に
出資を余儀なくされたり、数十年間の運転保証を求められるなど、各社が背負う リスクは膨らむ
一方だ。
 
 インドでは 9月 法務長官が原発事故による損害賠償の請求権について「 行使を希望するか
どうかは原発の運営者が決められる 」との法解釈を示し、同国での原発推進のネックになって
いた「 厳格な製造物責任の追及 」が緩和されたと歓迎する声が 世界の原発関係者の間に
広がった。 ただ、この発言が インドでの原発ビジネスのハードルを下げることになるというのは
早計かもしれない。 一旦 深刻な事故が起き、多大な犠牲者が出れば、責任追及は“政治”の
色彩を帯びてくるからだ。
 
■「原子力事業、商業的には成り立たない」
 運営者が トラブルや事故を起こした原発のメーカーに 寛大な対応をすることは考えにくい。
国民感情を考慮するなら、メーカーが 外国企業の場合は 特にそうだろう。サンオノフレのケースで
いえば、運営者は巨額の賠償請求を突きつけたSCEであり、監督当局のNRCも同調している。
三菱重工の責任追及には 地元カリフォルニア州選出の上院議員も暗躍した。
 
原発ビジネス は セールスから リスク管理に至るまで 政治の関与が ますます不可欠になりつつある。
今の原子力は 『国家事業』だ。 つまり商業的には成り立たない」(10月10日付日本経済新聞
朝刊「真相深層」)。米ゼネラル・エレクトリック(GE)のジェフ・イメルト会長兼最高経営責任者
(CEO)のこの指摘は 確かに的を射ている。 日本政府や原発 メーカー の経営者は どう解釈する
だろうか。
 
 

原発リスク:火山噴火予測困難 起これば「被害甚大」

$
0
0
    
  この記事を見て、いくつかのことが思われます。
 
 一つは、何といっても 原子力というものが、
  我々の日常感覚から 如何に遠いものか! ということです。
  放射性廃棄物の管理が 10万年以上ということも 想像を超えたことですが、
  巨大噴火ということは、我々一般の者には 思いも及ばない原発リスクです。
 
  こういう 途方もない年月の事を考慮しなくてはならない原子力政策が、
  1~数年の事どもに責任をもつ 政治家や経済人の意向を強く反映して
    決定されていることの極端な アンバランスに、強い印象を受けます。
 
 
 二つ目は、火山学者 134名に向けたアンケートに 約37%しか回答がなかった
  ということにも、強い印象を受けました。
  一般のシロウトが こういう時に頼りになるのは、専門家の知見ですが、
  彼らの 6割以上は、我々の期待に添う意思を持っていないという事実は、
  この火山学会だけでなく 科学界一般の 偽らざる現実です。
 
  科学者は、自らの利害を 国家、国民に要求することはあっても、
    切実な 社会的関心や国家的危機には 背を向けるものだということは、
  この度の原発事故において 露わになったことの一つでした。
 
  ( 火山学会として、
   彼らは 原発に対する火山のリスク評価をまとめたこともなく、今も その意思がない
   という事実に、我々は 注目すべきです。
   火山学に限らず このような科学者の姿勢を見せつけられて、なおも 科学に
   我々の未来を託するということは、これもまた アンバランスなことです。 )  
 
  こうしたことを 目の前に突き付けられると、
 我々は 何か 根本的に 間違った道に 踏み込んでしまったのではないか?
 という感を、改めて 強くいたします。
 
 
  
                                                                                   合掌
 
 
 
 
                                                            毎日 2013年12月22日
 
  国内17カ所の原発に対する火山の危険性について、毎日新聞は全国の火山学者を対象
に アンケート を実施した。回答した50人の内、巨大噴火の被害を受けるリスクがある原発として
川内(センダイ)(鹿児島県)を挙げた人が29人と最多で、泊(北海道)も半数の25人に達した。
  原発の火山リスクについて 火山学界の見解が定量的に示されたのは初めて。
  リスクを指摘された原発の再稼働に慎重意見もあり、原子力規制委員会の審査や再稼働の
議論に影響する可能性がある。
 
 特任などを除く全国134人の大学教授、准教授らに郵送で実施した。
 最長60年の稼働期間中に巨大噴火が発生し、火砕流の被害を受けるリスクがある原発を
複数回答で選んでもらったところ、29人が いずれかの原発を選択した。
その全員が「 阿蘇(熊本県)や姶良(アイラ)(鹿児島県)など多くのカルデラが周囲にある 」
として 川内のリスクを指摘した。         姶良カルデラ - Wikipedia
  カルデラは 巨大噴火の後に形成される非常に大規模な陥没(盆地)地形で、同様に泊、東通
青森県)、玄海(佐賀県)も 周辺にカルデラが存在することが懸念された。
 
 他は 伊方(愛媛県)11人 ▽女川(宮城県)9人 ▽島根(島根県)や東海第2(茨城県)など7人
の順で、カルデラとの距離が遠くなるほどリスクの指摘は減っている。
どの原発にもリスクがないと答えたのは 9人、無回答は 12人だった。
 
 「 リスクがある 」と答えた人に、それぞれの原発について 再稼働の是非を尋ねたところ
「 再稼働させるべきでない 」は 川内が19人 と最多で、泊15人 ▽東通11人 ▽玄海9人
▽伊方5人だった。
「 火砕流到達した場合運転員生存見込めない 」(林信太郎・秋田大教授)としている。
 
 しかし、「 リスクがある 」と答えた人でも、巨大噴火の発生する確率は「 非常に低い 」との
指摘が少数あった。 一方、カルデラを形成するような巨大噴火が迫っていることを事前に正しく
評価できるとしたのは 50人中5人にとどまるなど、現在の科学で巨大噴火がいつ起こるのか
を評価するのは難しいといえる。
 
 原発の新規制基準は、原発の半径160キロ圏にある火山を対象に、最長60年の原発稼働
期間中に巨大噴火が発生する可能性の有無を調べるよう電力各社に求めている。
  (1) 巨大火砕流が原子炉を直撃する (2) 直撃しなくても周辺が壊滅し原発事故に対応
できない  −−  などの場合は 立地不適と判断され廃炉を迫られる。
 
                        原発への噴火リスクと再稼働反対を指摘した火山学者の人数(数字は人)
                             原発への噴火リスクと再稼働反対を指摘した火山学者の人数(数字は人)
 
  ◇巨大噴火
    火山の噴火規模は噴出物の量によって 小規模噴火から超巨大噴火まで分類される。
     日本では 約6000〜1万年に1回、巨大噴火が起きている。約9万年前の阿蘇の巨大噴火
     では高温・高速の火砕流が約180キロ先まで達し、北部から中部九州はほぼ壊滅。一部は
     山口や愛媛にも達した。  直近では 7300年前に現在の鹿児島県南部で起きた。
       富士山の宝永噴火(1707年)や有珠山噴火(2000年)は これよりずっと小さな規模の
     噴火になる。
                                                                                        < スンダランド(2)
    ◇九州大の清水洋教授(火山物理学)の話
      次の巨大噴火を予測することは難しいが、科学的にリスクはゼロとは言えない。リスクを
      どこまで許容するかだ。原発稼働の可否は リスクの大きさと国益などを考慮して国民が
     判断する必要がある。そのためには、それぞれの原発について リスクを公正に評価し、
     それらの情報を公開する必要がある。
 
 
 
原発リスク 火山噴火予測困難 起これば「被害甚大」
                                   毎日新聞 2013年12月23日
 
 毎日新聞が全国の火山学者を対象にした アンケートで、火山の巨大噴火による原発被害の
危険性が指摘された。 だが 現在の科学では、 6000〜1万年に 1回とされる巨大噴火が
最長60年の原発稼働期間中に発生するかを予測するのは不可能との見方が大勢で、
原子力規制委員会の審査も限界があるのが実態だ。
  いざ発生したら 被害は甚大なだけに、複数の火山学者が 「 リスクがあることを 国民に十分
周知した上で 再稼働の可否を議論すべきだ 」と求めている。
 
 「 火砕流の影響を受ける立地条件であり、いずれもハイリスクと考える 」。
岩手県立大の伊藤英之准教授は アンケートで川内(センダイ)(鹿児島県)、泊(北海道)、東通
(青森県)、玄海(佐賀県)を リスクのある原発に挙げた。
秋田大の林信太郎教授も 川内について「 許容できないリスクがある 」と明言する。
 
 巨大噴火が発生した場合、多くの火山学者は 破局的な被害が避けられないとみている。
推定 600度以上の高温の火砕流が 時速100キロ以上の速さで広がり、少なくとも周辺100
キロ四方は焼き尽くされる。火砕流が直撃しなくてもブラスト(高温の爆風)が吹き、火山灰が
広範囲に降り注げば 送電線が切れたり、取水口や排気口が塞がれたりして原子炉の冷却は
困難との見方だ。 救援に向かおうにも 近づくことすらできない。
 
 しかし、アンケートで原発への火山リスクを指摘した29人全員が、規制委が審査対象とする
「 最長60年の原発稼働期間中に巨大噴火が発生する可能性 」を必ずしも高いと見ているわけ
ではない。「 可能性は非常に低い 」との指摘も少数あった。
 それでも 多くの火山学者が リスクを指摘するのは 「 起きない 」と言い切れない点にある。
巨大噴火の頻度は 非常に低く、実証データや記録がないため 発生の可能性を数値的に示す
ことはできない。 日大の高橋正樹教授も「 現在の火山学では 巨大噴火の前兆現象の識別や
直前予測は不可能 」と説明する。
可能性は低くても、いつ起こるか分からず、万一起きてしまった時の被害の甚大さを考えて
リスクの存在が導き出された格好だ。
 
 アンケートで リスクの有無を答えなかった信州大の三宅康幸教授も「 原発稼働期間中に
カルデラ噴火が起こる可能性はゼロではない 」と指摘、「 (川内や玄海、愛媛県の伊方原発に
影響する恐れのある)阿蘇の過去4回の巨大噴火からすると、時間的空白は既に長すぎる 」
と例示した。
 
  一方、「 どの原発にもリスクはない 」と答えた9人からは 「 60年以内に巨大噴火は発生
しない 」「 中東発の石油危機が起きる可能性の方がはるかに高い 」などの意見が寄せられた。
 
◇規制委、審査に試行錯誤
 国際原子力機関(IAEA)は 2009年、火山を巡る原発の立地条件に関する指針案をまとめ
ている。7月に施行された原発の規制基準では、福島第1原発事故の教訓から地震に偏らず
幅広い災害を想定することを義務付け、IAEA指針(12年策定)を参考に初めて火山対策も
盛り込まれた。 巨大噴火の影響が「 十分小さい 」と確認できれば 稼働を認めるが、判断基準
は規定されていない。
 
 規制委が火山噴火の影響について審査を進めているのは 川内、玄海、伊方、大飯(福井県
高浜(同)、泊の6原発。 泊以外の5原発では 「 運転に影響はない 」との電力各社の報告を
大筋で了承したが、その過程では、巨大噴火の科学的知見は少なく、審査に限界があることも
浮かんだ。
 例えば 九電は 9月の審査会合で、川内原発の敷地内に火砕流の痕跡はないとして「 影響は
ない 」と報告。規制委の島崎邦彦委員長代理は「 ちょっと疑問が残る 」としつつも、「 大規模
噴火は知見がまだ十分にない。お互い(審査側、される側)に不十分、試行錯誤の面がある 」
として、巨大噴火の前兆となる地殻変動などを観測する監視態勢の強化を求めることで 大筋
了承する考えを示した。九電は 観測網を作る方針を示している。
 
 規制基準の根底には、東大地震研究所の中田節也教授が 基準策定時に「 モニタリングで
前兆はとらえられる 」と説明したことから 「 予知は可能 」との考え方がある。
原子力規制庁幹部は「 審査に限界はある。だから 現在の知見の範囲で判断し、不確実さが
残る部分は継続的に監視していくことで補うしかない 」と説明する。
 
 だが 火山学者へのアンケートでは、50人中25人が「 前兆現象はキャッチできる 」と答えたが、
前兆現象から「 巨大噴火の切迫を正しく評価できる 」と答えたのは 50人中5人のみ。45人が
「 難しい 」「 現在の科学では想定不可能 」と回答した。
予知に成功した例は 00年の有珠山噴火(北海道)があるが、このような中規模噴火は 過去の
観測例から予知できる可能性はあるものの、有史以降の観測例がない巨大噴火の場合は困難
との意見が 火山学者の大勢だ。 観測網を作ったところで 安全が担保されるとは言い難い。
 
  川内原発から約3キロ離れた鹿児島県薩摩川内市寄田町では、2.6万〜2.9万年前の姶良
(アイラ)カルデラ噴火で発生した巨大火砕流の堆積物が見つかっており、鹿児島大の井村隆介
准教授は「 巨大火砕流が 川内原発敷地内まで到達した可能性は否定できない 」と指摘する。
 巨大噴火による広域火山灰研究の第一人者、町田洋・東京都立大名誉教授(第4紀地質学)
は「 人間の生活時間と巨大噴火が繰り返されるまでの長い間隔は著しく異なり、次の巨大噴火
を予測することは大変難しい。だが、巨大噴火による火砕流堆積物が近くに残っている川内や
泊は それなりにリスクが高いと考えざるを得ない。アンケート結果はおおむね妥当な結果だ 」
と話す。
 
 

上田誠也東大名誉教授に聞く

$
0
0
時事ドットコム
 
 

予知研究は前兆現象探求

インタビューに答える上田誠也東大名誉教授【時事通信社】 インタビューに答える上田誠也東大名誉教授【時事通信社】
 
 甚大な被害を出した東日本大震災の後、最大で マグニチュード(M)9クラスとされる南海トラフ
沿いの巨大地震が注目を集めている。
津波の高さは最大34mで、死者32万人、被害総額220兆円という被害が推計されている。
 
  しかし、内閣府の調査部会(座長・山岡耕春名古屋大教授)は 2013年5月の報告書で
「 現在の科学的見地からは 地震の規模や発生時期を高い確度で予測することは困難 」との
見解を公表。 日本地震学会も 12年10月に発表した行動計画に「 地震予知は 現状では
非常に困難 」と明記した。
地震学は「 最悪の事態 」を予知できないという結論に国民は困惑せざるを得ない。
 
 地球物理学者で 日本学士院会員の上田誠也東大名誉教授、日本におけるプレートテクトニクス
研究の第一人者。 地震学とは 別の分野での科学的研究によって 地震の短期予知は可能
とする考えから、「 地震予知学 」を提唱している。
地震予知を可能にするため何が必要なのかを聞いた。
                       (聞き手 時事通信社編集局長 安達功、インタビューは 2013年8月27日
 
安達:「地震予知―現状とその推進計画」(ブループリント)に基づいて 1965年にスタートした
     日本の地震予知計画では観測網も充実し、研究も進歩したと思います。しかし、その結果
     「予知は困難」と言わざるを得なくなった地震学とは どういう学問なのでしょうか。
 
上田: 地震計で地震の揺れ、つまり地震波を観測し、その結果に基づいて地球や地震のこと
   を研究するのが 地震学(seismology)で、大きくは 2つに分かれています。
   1つは 地震波を媒介として 地球の内部構造(地殻・マントル)を調べる学問。これは 地震学
   の出発点で、19世紀に 主に欧州で始まりました。
   もう1つは、地震波によって 地震そのものを調べるのもので、英語で 「earthquake seismology
  と言います。 欧州で始まった地震学が ある程度進歩した20世紀になって、地震が起こる地域
   で盛んになりました。米カリフォルニア、日本、イタリア、ロシアの一部地域などです。
  実は、地震学は 地震予知にとって 直接的には 余り役に立ちません。地震予知は 短期予知
  でなければ意味がないからです。1週間とか 1月以内とかですね。「 何年後に何% 」という
   のは地震予知と言うべきではないと思います。 それが 国民一般の常識ではないでしょうか。
   自分の生命を救うには 1週間ぐらい以内に言ってくれないと困るわけです。
    地震の発生を予知するためには、前兆とされる現象を研究し、とらえなければなりません。
   地震の前兆現象を研究するのが短期予知なのです。ところが、前兆現象とは地震の前に起る
   現象なのですから、その大多数は 地震そのものではないんです。地震計を いっぱい並べて
   地震のメカニズムなどを明らかにするのは大切な研究ですが、地震の予知には 余り役に立た
  ないのです。
   5月の報告書の見解は、まさに そのことを言っているのです。地震そのものを研究対象とする
   地震学では、本来の意味での地震予知、つまり短期予知はできない。 ところが、65年に始った
  地震予知計画では、地震学しかやってきませんでした。多くの地震計を設置して地震観測を
   盛んにやり、地震というものが だんだん分かってくれば 地震予知ができるかもしれないという
  建前だったのですね。
    しかし、地震の前兆現象は ほとんどが地震そのものではないのですから、地震学は ベストの
   方法ではなかった訳です。他のことをやらなくてはなりません。当事者は そのことを認識して
   いたにもかかわらず、地震計測以外のことを ほとんどしなかった。
 

予知情報が出たことはない

東海地震を想定して開かれた地震防災対策強化地域判定会委員の打ち合わせ会=2009年8月31日、東京都千代田区の気象庁[代表撮影]【時事通信社】 東海地震を想定して開かれた地震防災対策強化地域
                                                        判定会委員の打ち合わせ会=2009年8月31日、
                                                        東京都千代田区の気象庁[代表撮影]【時事通信社】
 
安達: 東海沖地震については 大規模地震対策特別措置法ができて、79年に地震防災対策
   強化地域判定会が置かれ、静岡県の御前崎などで異常を観測したら、判定会の判断を受けて
   首相が警戒宣言を発する仕組みができました。それから40年たちますが、この間に日本で
   予知された地震はありますか。
 
上田: 短期予知された地震は一つもありません。あの法律ができた時の根本的な思想は、もし
  予知できるとなった時には、政府は 色々なことをしなければならない。今 そういう法律はない
   じゃないか ということでした。予知ができたとしたら、電車を止め 銀行を閉め 学校も休みにし
   病院も対応しなければならない。本来は そういう発想だったはずなのですが、やっている内に
   予知はできるものだということになってしまった。しかし、未だ地震予知警報が出たことはあり
  ません。
    ところで、仮に 気象庁が御前崎の地殻変動に異常発生をとらえたとしても、政府は警戒宣言
   は出さないでしょう。何かシグナルが出ても、これは何だ と言っている内に終わってしまうで
  しょうし、警戒宣言を出したのに、もし 何も起こらなかったらどうなるかと誰でも考えてしまう
   でしょう。 実際問題として、あの法律は 死文化していると思います。地震の調査・研究に
 関する業務を一元的に担うとされる、文部科学省の地震調査研究推進本部が  「短期予知」
 には興味がないことを公にしているのですから。
 
安達: 85~86年ごろ気象庁を担当し、9月1日には判定会招集の訓練も取材しました。首相
   は 本当に警戒宣言を出せるのだろうか とは思いましたが、まさか21世紀になって「 予知は
   困難 」となるとは思いませんでした。
 
上田:少し説明すると、東海地震予知地震学ではなく 測地学、つまり地盤の上下の動きなど
   を測る学問に頼っている希なケースなのです。太平洋戦争終戦寸前に起きた44年のM7.9
  東南海地震の直前に 御前崎周辺の地盤が上昇したということが 当時の陸軍によって観測
   されたらしいのです。 その一度だけの報告を頼りに、気象庁が敷いている大観測網は 地震計
   ではなく、地殻変動を測る 「ひずみ計」です。 M8ぐらいの地震ならば、44年のような前兆を
   とらえる可能性はないではないと思います。 成功を祈っていますが、それでも警報は出せない
   でしょう。官庁は 本来、警報には向いていないのです。
 
安達: 上田先生は 東大地震研時代、プレートテクトニクス研究の第一人者でした。その頃、地震
  の短期予知については悲観的だったと聞いています。定年退官ごろ、もしかしたら できるの
   ではないかと思うようになったということですが、きっかけは何だったのでしょうか。
 
上田:地震研には 30年以上いましたが、何人かの人たちは 地震予知計画の下で多額の予算
   をもらい、地震学をやっていました。しかしその当時、教授会ですら そのための予算がどうなっ
   ているのかよく分からなかった。分かるのは、地震計を並べて 定員が増えて予算が増えて と
   いうことでした。そういうことを見ていて、これではできないなと思っていました。
    そもそも前兆現象を対象としない地震学では 予知はできるはずがないからです。また、我々
  は地震予知(短期予知)をやっています と公言する教授会メンバーもいませんでした。
  そうかといって、にも当てになる前兆現象は思い当たりませんでした。関心もなかったのです。
   定年間近になり、プレートテクトニクスの研究は、丁度そのころ完成したというか、大事なことは
 押さえたと思っていました。この辺が潮時かなとも思っていた時、VAN法(Varotsos-Alexopoulos
 -Nomikos method)というギリシャの地震予知研究に遭遇しました。 VANは 3人の物理学者の
  名前のイニシャルですが、地電流に 地震前兆の信号が出るという研究です。
    丁度その頃、オランダで出しているテクトノフィジクスという雑誌の編集長になり、彼らの論文
 に関する相談を受けたのです。日本の研究者にも 何人かに相談してみましたが、だめな論文
  だという人が多かった。私の専門ではなかったが、それでは と自分でも読んでみたところ、悪く
  なさそうに思える。予知に成功しているんですね。うまくいっているのに ダメとは言えないと思い、
 その論文を採択しました。84年のことです。これがいけるのなら日本でもやれないかと思い
 ました。
 

地震の寸前に地電流に異常

地震による電磁気異常の計測のイメージ図【時事通信社】 地震による電磁気異常の計測のイメージ図
                                               【時事通信社】
 
安達: 地電流ということですが、地中に 電流が流れているということでしょうか。
 
上田: 地面の中は ある程度の電気伝導性がありますから、地磁気の変化などで誘導電流が
   起きたり、電車が走れば電流が流れたり、色々なことが起こっている。3人の研究者は 地震
  の寸前に地電流に異常が起こると言っていました。 物理学者だったせいか 地球物理学者
   とは全然違い、場所を示すのにも 緯度経度で言わずに「アテネの西方何キロのあたり」など
   と言う訳です。偏見を持たないで読めば悪くないのですが、地球物理学者は ハナからこんな
   素人論文は だめだと思うのですね。
 
安達: 測定ポイントをもうけて、ずっと測っているのでしょうか。地震の前には電気の流れ方が
   違うということですか。
 
上田: そうです。物理学者で 電磁気学をよく分かる人たちなので、地震の前には地面の中に
   電流が流れるのではないか という理論的研究を始めていた。そのうち、アテネで地震の被害
   が出たものですから、何とかしたいという思いから 実際に地電流を測ってみようとなったんだ
   そうです。地震が起った時に地磁気が変わったり、電気が変わったりするだろうという発想は
   しばしば 地震学者以外の人から出ています。物理学者の田中舘愛橘(東京帝大教授、1856
   ~1952)は英国の有名な物理学者ケルビン卿の下で勉強した。帰国後3カ月、1891年に
   M8.0濃尾地震が起きるや学生を連れて震源地に行き、地磁気変動の観測をしました。
   半世紀後のブループリントにも 地磁気や地電流がちゃんと観測項目に書いてありました。
 
安達: 古い時代から、物理学者は 地震と地電流、地磁気の関係に注目していたのですか。
 
上田: そうらしいですね。これも ケルビン卿の下に留学して令名をはせた明治時代の有名な
   電気の専門家、電気学会の創始者志田林三郎(1855~1892)などもそうですね。
 
安達: 地震学以外では、他にも 幾つかの研究があるようですね。阪神大震災の時は神戸薬科
  大学の研究者が地中から放出されるラドンガスの濃度の変化をとらえたと聞いています。
  自然現象が変化するということですか。
 
上田: そうです。大地震の前には 地殻の状態が臨界的になって、色々なことが発生するので
   はないかと思われています。運送会社の運転手さんが 地震直前に神戸の街に入っていったら
    ラジオが聞こえなくなったという話もあります。六甲の ミネラルウオーター を調べ、地震の際に成分
   変化があったという研究結果もあります。色々な動物の集団移動などの報告は世界各地から
  沢山あります。しかし、地震学者は そういう情報を聞いても 「ああそうか」 というふうにしか
   受け取りません。それは世界的な傾向らしく、ギリシャでも VAN法によって あれだけ予知が
   されても、地震学者の無関心 ないし圧倒的反対を受けて評判はよくありません。
 

ギリシャではVAN法による予知に成功

1999年9月、ギリシャの首都アテネ一帯を襲った地震で崩落した建物【AFP=時事】 1999年9月、ギリシャの首都アテネ一帯
                                                                           を襲った地震で崩落した建物【AFP=時事】
 
安達: 随分予知を成功させているということですが。 M5.5以上の地震ということでしょうか。
 
上田: そうですね。M6以上だと被害が出るので 彼らは公表しています。
 
安達: 地震の発生まで どのくらいの時間があるのでしょうか。
 
上田: 数年前までは、信号が出てから 2週間から数カ月でした。それでは 時間的精度が足り
   ないという声もありましたが、ここ数年は、ある種の信号が出てから数日にまで短縮されて
   います。どうして 数日後なのかは今のところ分かっていませんが、そういう例が実際に幾つか
  ある。
 
安達: これまで VAN法によって警告が発せられ、その通りに地震が起こった例は ギリシャ
   では何例ぐらいあるのでしょうか。
 
上田: 正確には言えませんが、数十例あります。年に 1つぐらいはあります。
 
安達: そういう警告が発せられると、ある程度人口の集中した町では 防災、避難活動などが
   行われるのでしょうか。
 
上田:行われた例と行われなかった例があります。VANグループが 政府に報告しても、多くは
   無視される。しかし、メディアが気付きます。彼らは あまりメディアが好きではないが、非常に
   危ない時には テレビに出て発言する。そうすると 地方の行政が動く。それによって 多くの人
   が助かったということは 少なくとも3回ぐらいはあります。
 
安達: VAN法による地電流の観測は ギリシャ国内の何カ所ぐらいでやっているのですか。
 
上田: 全国で10カ所位あります。もっとあったのですが、10カ所位あればいいということになっ
  たようです。
 
安達: 日本国内では 地電流の観測は 電車などの影響でノイズが入ってしまって、難しいよう
   ですね。地電流のほかに 電波の伝わり方に変化が起こるようですが、それはなぜでしょうか。
 
上田: 確かに日本では ノイズのために地電流の観測は実用的ではなさそうです。電波の伝わり
  方の変化の方が測定は 遥かに容易です。なぜ変化が起こるのかについては、まだ一致した
   見解はありません。皆が研究しているとしか言えませんが、電波の伝わり方に異常がある
  ということは、電波が伝わる経路、主に地球を取り巻く電離層に変化があるということです。
  「 地震が起きる前に電波が発生する 」という有望な例もありますが、多くの例は FMなどの
   放送波や標準電波(JJY)が経路の変化によって違った振る舞いをするということです。
 
安達: ラジオでは AMの電波は 電離層と地表で それぞれバウンドして比較的遠くまで届き
   ますが、FMの電波は反射せずに電離層を突き抜けてしまうので、遠くまでは届きませんね。
   ただ、FMにしても気象状態などによって受信状態が違ってきます。それと同じようなことが
   地震の前にあるのでしょうか。
 
上田: まさに、そういうことです。その現象は、八ケ岳で天文観測をしている串田嘉男さんが
   95年の神戸地震の前兆として発見したもので、串田さんは 現在も全国的に観測を続けて
   います。これは面白いと、北海道大学の森谷武男さん達も研究を始めました。観測は北海道
  だけですが、いい結果が出ています。また、フランスは 人工衛星を使って上層大気中の電波
   放射強度などを測定し、統計的に有意な結果を報告しています。アメリカでも最近では盛んな
   研究が始まっています。
 
 

「地震ムラ」はなぜできた

気象庁の地震観測処理室(地震現業室)に設置されている地震計=2002年撮影、東京・大手町【時事通信社】 気象庁の地震観測処理室(地震現業室)に設置され
                         ている地震計=2002年撮影、東京・大手町【時事通信社】
 
安達: 地震予知を名目にした地震観測研究の研究費は国全体としては莫大なものです。一方、
   地震学以外の物理学、化学などの分野での地震予知研究には予算が付かず、研究として
   認めてももらえない。先生は 地震学と防災行政について 「地震ムラ」 と呼んでいますが、その
   地震ムラは あんなに大きな地震も予知できなかった。国民には強い不信感があると思います。
   地震ムラは どうしてできてきたのか。
 
上田: ブループリントによって 国家予算が付きました。予算の使い方を地震学者に相談すれば、
   地震計を 一杯並べて観測網を充実させましょうと言うわけです。地震学からすれば、当然の
  ことだと思います。どっさりお金が付き、観測所もできるし人も雇う。そうなると、これで十分と
   いう状態にはならないんです。来年も その次の年も予算が付くとなると体制ができてしまい、
   別のことに切り替えますということができなくなる。永久的事業になってしまうんですね。それが
   地震ムラです。
 
安達: 地震行政というのができて、その中で予算の配分がされてくると、予算確保を毎年して、
   それを拡大していこうということになるわけですね。
 
上田: そうです。地震は 頻繁に起こりますから、地震計が増えれば観測する人も もっと必要に
   なるわけです。人も増えるし予算も増えるしで、止めどもないわけです。国家予算は決まって
   いるので、それを独占してしまっては、地震以外の観測が必要だという人に対しては、お金も
   人もいかない。産官学の共同体ができてしまった原子力ムラと同じです。それを崩すことは
   今でも困難ですね。
 
安達: ブループリントには 地震観測だけではなく 前兆現象の研究も書かれていたが、それが
   地震ムラでは行われなかった。地震学者は それで地震が予知できると考えたんでしょうか。
 
上田: 短期予知は出来ないことは よく認識されていたと思います。しかし、出来ないと明言して
   は元も子もなくなるので、地震予知ということばを非常に曖昧に使って、将来、地震予知に
  役立つだろう ということでやってきたわけですね。役に立たない とは言えないですからね。
 
安達: メカニズムを解明すれば、何らかの形で 地震の発生をつかめる可能性があるということ
   ですか。国民もみなそう思っていたと思います。先生は 地震学ではなく 前兆現象を研究対象
   とする「地震予知学」の講座を 大学に設け、研究者を 少しでも増やすべきだと提唱されて
   います。地震の短期予知研究の現状と予算はどうなのでしょうか。
 
上田: ここで 一つ最近の地震学について言えば、日本は 地震予知計画で地震観測網を沢山
  作った。さすがに これだけ観測網が整うと 地震学の方でも面白い研究が出つつあります。
   東日本大震災の前に震源が だんだん移動していったことが分かったとか。ある値が変わった
   とか、そういう種類のことが地震学者からも出てきました。やっと長年の地震学のあてどもない
  ような努力が 実を結びつつあるとも言えるような気がします。
 
安達: 地震学の観測データを精査したことで、何らかのことがあったということですね。将来の
   短期予知に結びつくのでしょうか。
 
上田: そうなるといいですが、どうでしょうか。他の地震では そういうことは見つかっていないん
  ですから。 しかし、地震学の成果が役に立つような気配は 見えてきたとは言えるでしょうね。
 

予知研究の予算は1700万円程度

岩手県宮古市の堤防を乗り越えた大津波=2011年3月11日、河北新報社刊「巨大津波が襲った 3・11大震災」より【時事通信社】 岩手県宮古市の堤防を乗り越えた大津波
     =2011年3月11日、河北新報社刊「巨大津波が襲った 3・11大震災」より【時事通信社】
 
安達: 地震学以外の予知研究は 研究者も少なく、研究費も非常に少ないということですが。
 
上田:現在、地震の短期予知をやろうと言っているのは、日本では 20人ほどです。地震学者も
   いますが、大勢は 電波工学者、電離圏研究者、物性物理学者とか 色々で、生物学者まで
  入っています。ほとんど研究費というものはないです。皆それぞれ工夫してやっています。
  何がしかの予算がついているのは 北海道大学、東海大学くらいのもの。
     地震ムラは 年間数百億円も使っているが、大学における地震予知研究の名目では 4億円
   しかありません。14の大学が参加しているにもかかわらずです。しかも、その大部分は地震
   学者が使い、地震学以外の予知研究に役に立てようというのは 1700万円程度です。
   これでは研究は とても無理です。
    その理由は単純です。地震の前兆現象というのは 前兆ではあっても地震を起こす原因には
   なりませんから、地震学者が興味を持たないのは当然なんです。つまり、地震予知は 地震学
   の目的ではありえない。「地震学」と「地震予知学」は違う学問なのです。 地震学の講義は
   いろんな大学にあるが、地震予知学というのは 一つもない。
  しかし、前兆現象についてこそ、基礎研究を 十分にやらなくてはいけないのです。先ほど
   言及した 沢山の前兆現象のどれが、科学的に意味があるものなのか。そして、それらは
  どうして発生するのかなどの研究です。そういう 「地震予知学」 の講座がどこの大学にもない
   から、それを作りましょうというのが 私の念願です。 武田信玄ではないですが、人は城です。
   人がいないんです。目の前で 地震が起こるかもしれない静岡あたりの大学が それを作って
   くれたら 本当に世のため、人のためになるでしょう。それほど お金はかからないんですよ。
 
安達: 地震学は 地殻にかかる力の作用によって、ひずみがたまって地震が起こるメカニズム
   を研究する物理学の一分野ですね。 しかし、もっと範囲を広げると予知を可能にするいくつも
   方法がある。地震の周りで起こる 色々なことをまず科学としてとらえ、可能性のあるものを
 一生懸命研究しましょうということですね。前兆であるかもしれない現象があるにもかかわらず、
   長い間、科学の対象にしてこなかった現実があるということですね。
 
上田: その通りです。私は 予知は可能と考えています。既に 射程に入っているとさえ言えます。
   前兆かもしれない現象を科学の対象としてこなかったのは、地震学が悪いのではないんです。
   それは守備範囲ではないんですから。ただ、地震学者が もうちょっと広い視野を持っていたら
   よかったとは思いますがね。
 
安達: 先ほど名前が出たケルビン卿が空中を飛ぶ機械について 1895年に無理だと言っていた
   ようですね。ところが、1903年にライト兄弟が飛んでしまった。こういうことが科学の歴史には
   あります。地震学者が 現在、地震予知は困難と言っているが、数年後には何らかの前兆を
   とらえる可能性があるということでしょうか。
 
上田: そう思います。地震学ですら前兆をとらえる可能性があります。しかし、研究をするには
   圧倒的に予算がないんですね。みんな途中でやめていく。大学院生がやっていても 就職は
   別のところにしてしまうんです。
 
安達: 2007年の学士会会報に掲載された講演録の中で、先生は 「地震被害で最も深刻な
   のは人命の損失。地震予知ができれば人命は劇的に助かる」 と話しています。 地震学は
   「予知は困難」としましたが、可能性がある分野が存在することを 我々はもっと知らなければ
  ならないと思います。その点に関して、マスコミは きちんと役割を果たしてきたのだろうか。
   我々も地震ムラの中にいたのではないか。東日本大震災では多くの人命が失われました。
  地震の犠牲者をできるだけ出さないために、科学は あらゆる可能性を探究する必要がある
   と思います。
 
上田: 地震を予知すれば人命は助かるんです。短期予知はしないという人もいますが、なぜ、
   そんな簡単なことが分からないのかと思います。ただ、先ほど申したように仮に予知できても
   政府は宣言を出さないだろうと思います。ですから、私は これは民間セクター の仕事では
   ないかと思うようになりました。実際に 地震予知に対する社会的需要は 物凄く多い。病院、
   企業、学校、交通機関などにとっても非常に必要な訳です。政府は当てにできないのだから
   お金を出してでも情報を買いたい。そういう喫緊の需要のために予知を行う会社が必要だ
   と思う。 そして、そういう会社には、目覚めた大学研究者が積極的に協力していく。それは
   最もいい形の産学協同ではないでしょうか? 大いに進めていくべきだと思います。
 
安達: 基礎的な研究は 大学と民間でやる。地震予知学講座の予算は確保したいということ
   ですね。地震学以外の研究としては 地電流、地磁気、ラドン、地下水の変化など 色々お話に
  ありましたが、現状では このどれが有力と考えていますか。
 
上田: 我々の一致した意見は、優先順位はあっても、全体として研究すべきだということです。
  ラドンだけでも井戸の水の変化だけでもだめだと思います。短期予知は、まさに まだ研究段階
  なのですから。
 
安達: 地震学の分野でも 新しい研究が出てきている。予知の可能性を追究してもらいたいと
   いうことでしょうか。
 
上田: そういうことです。メディアについていえば、体制側や行政の言うことに 事大主義的に
   従い過ぎに見えます。予知より 防災などという 二者択一論に乗っているのも どうかと思わ
  れます。予知も防災のためなのであって、排他的関係ではない。もう少し考えてほしい。そして
   「短期予知研究こそ進めるべしという大論陣を張ってほしい。そうしないと 人命が救われ
  ないですよ。
 

福島第一原発事故に伴うCs137の大気降下状況の試算

$
0
0
 
        - 世界版SPEEDI(WSPEEDI)を用いたシミュレーション -
                                                                平成23年9月6日
                                                         (独)日本原子力研究開発機構
 
1) 3月末及び4月末までの降下量の推定
  (左が 3月末まで、右が 4月末までの積算降下量の推定値)
 
    4月中の降下量は 3月に比べ格段に小さいため、左右の図は ほとんど
    同じように見える。
housyanouspeeeifd.jpg
 
   文科省の航空機モニタリングの結果 (福島・宮城・栃木・茨城) と比較すると、
  茨城県では分布をよく再現しているが、宮城県南部から中部、福島県会津
  地域での明らかな過大評価や、栃木県での過少評価が見られるなど、
  量的に一致しているわけではなく、この解析結果はあくまでも分布傾向を
  概観する上での参考とするレベルである。
 
 
 
2)関東及び東北地方へのCs137の降下プロセス
  主要な大気降下のあった 3月 1ヶ月の日々の降下量推定値
kousuiryouspeeo.jpg
kousityouhousyaou2.jpg
housyanouosenntizu3.jpg
 
       3月25日~31日のものは、原資料を参照
 
 3月12日9:00- 13日9:00 (図2 (1) 左)
  1号機の水素爆発の頃に一時的に放出が増加と推定された放射性物質が、
  12日午後から深夜にサイト北北西方向から宮城沿岸部に拡散・沈着。
  降雨はなく 放射性物質の降下は乾性沈着に起因する。 
 3月13日9:00- 14日9:00 (図は省略)
  主に海上に拡散。
 3月14日9:00- 15日9:00 (図2 (1) 右)
  14日中は北東の海上へ拡散した後、時計回りに向きを変えて 14日夜間から
  15日朝にかけて 南南西の茨城県方向に拡散。
  降雨はなく放射性物質の降下は乾性沈着に起因する。
 3月15日9:00- 16日9:00 (図2 (2) 左)
  南南西方向から 時計回りに向きを変えながら関東、東北へ拡散。
  高降下量地域は、主に 2号機の圧力抑制室付近の爆発音以降に放出が
  増加したと推定される放射性物質の、降雨による湿性沈着により形成された
  と考えられる。
  福島市周辺及び宮城では予測結果は過大評価になっている。
 3月16日9:00- 20日9:00 (図は省略)
  主に海上に拡散。
 3月20日9:00- 21日9:00 (図2 (2) 右)
  20日の昼までは関東に拡散した後、北西方向へ拡散し、深夜から再び南西
  の関東方向に拡散。
  関東地方では20日夜までの乾性沈着と21日朝からの湿性沈着に起因して
  降下量が増加した。
  福島県東部は 乾性沈着、宮城、山形 及び岩手県では 湿性沈着に起因した
  降下量の増加がある。
 3月21日9:00- 22日9:00 (図2 (3) 左)
  関東地方全域に拡散し、降雨による湿性沈着で降下量が増加した。
 3月22日9:00- 23日9:00 (図2 (3) 右)
  22日中は福島県、栃木県に拡散し、23日朝は海上へ拡散。
  降雨による湿性沈着で降下量が増加した。
 3月23日9:00- 25日9:00 (図は省略)
  主に海上に拡散。
 3月25日9:00- 26日9:00 (図2 (4) 左)
  海上から サイト北西方向に拡散した後、南東方向へと反時計周りに向きを
  変えながら拡散し、
  降雨によって山形・福島・宮城県の県境を中心に湿性沈着による降下量の
  増加があった。
 3月26日9:00- 30日9:00 (図は省略)
  主に海上に拡散。
 3月30日9:00- 31日9:00 (図2 (4) 右)
  太平洋上から内陸へと拡散し、
  福島・栃木県を通過中に降雨によって降下した。
  千葉県での過大評価は、降水量の計算値の過大評価に起因する。
  なお、3月30日のみ、文部科学省の「都道府県別環境放射能水準調査結果」
  と整合性をとるため、放出率を調整している。
 
 
  本推定に基づく、簡単な考察
 
・冬型の季節風の影響で、3月の放出期間の半分は海洋上に拡散している。
・陸域への拡散では、海陸風循環や移動性高低気圧の影響で、1日の間でも
  風向は 時計回り又は反時計回りに大きく変動するケースが多く、放出された
    放射性物質は 広く薄く拡散する傾向にあった。
・日々、一定量の降下があるわけではなく、3月15日、21日、25日頃の降雨が、
  陸域への放射性物質の降下量増加に影響を与えている。
  また、降雨帯の分布によって、降下量分布は帯状であったり、事故サイトから
  遠い地域に降下量増加が見られるといった特徴的分布を形成する。
・これらのことは、地域ごとの気象上の特徴を考慮した原子力防災計画の
  立案や、SPEEDI等での降雨分布予測や降雨沈着モデルの精度向上の重要性
  を示している。
 
 
 
  参考:
        < 大気輸送沈着 シミュレーション   
                平成23年8月2日  (独)国立環境研究所 ~環境省所管~ 
                   平成25年6月27日 (独)日本原子力研究開発機構
 
 
 
 
 
 
 

放射線健康不安~環境省・福島県(2)

$
0
0
 (1)  のつづき
 
放射線の健康影響に関する専門家意見交換会(第3回)
 
        12月21日(土) 13:30~16:30 ホテルサンルート白河 富士の間
                                          福島県西郷村
    14:20~15:00 講演「放射線による発がん影響-甲状腺およびその他のがん-」
      国立大学法人 岡山大学環境生命科学研究科人間生態学講座 教授津田敏秀 氏
 
 
 <津田敏秀氏の講演>    0:57~
  主題
   1. 「100m㏜以下は 放射線被曝による がんはでない」という説が誤りであることを示す。
     ―― 1945年来、放射線による発がん影響は、「閾値はない」とされているので、
        明らかな間違い。
        ・ 考え方は 国際放射線防護委員会ICRPを基本とする
     ―― 詳細は 資料を参考に
   2. 福島県における甲状腺癌の多発に関する分析結果を示す。
     ―― 標準的で簡潔な解析結果から考察
 
 
  1.
     経産省2013年3月
    ・「年間20ミリシーベルトの基準について」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                              (未完成)
 

 
 参考
                                      P4~5
   (1)低線量被ばくのリスク
  ①低線量被曝による健康影響に関する現在の科学的な知見は、主として広島・長崎の
   原爆被爆者の半世紀以上にわたる精緻なデータに基づくものであり、国際的にも信頼性
   は高く、UNSCEARの報告書の中核を成している。
    イ) 広島・長崎の原爆被爆者の疫学調査の結果からは、被曝線量が100 m㏜を超える
     あたりから、被曝線量に依存して発癌のリスクが増加することが示されている。
    ロ) 国際的な合意では、放射線による発癌のリスクは、100 m㏜以下の被曝線量では、
     他の要因による発癌の影響によって隠れてしまうほど小さいため、放射線による
     発癌リスクの明らかな増加を証明することは難しいとされる。
      疫学調査以外の科学的手法でも、同様に発癌リスクの解明が試みられているが、
     現時点では人のリスクを明らかにするには至っていない。
   ②一方、被曝してから発癌までには長期間を要する。したがって、100 m㏜以下の被曝で
     あっても、微量で持続的な被曝がある場合、より長期間が経過した状況で発癌リスク
     が明らかになる可能性があるとの意見もあった。いずれにせよ、徹底した除染を含め
     予防的に様々な対策をとることが必要である。
 (2)長期にわたる被曝の健康影響
    前述の(1)①の100m㏜は、短時間に被曝した場合の評価であるが、低線量率の環境で
   長期間にわたり 継続的に被曝し、積算量として合計100 m㏜を被曝した場合は、短時間
   で被曝した場合より健康影響が小さいと推定されている(これを線量率効果という。)。
   この効果は動物実験においても確認されている。
    ・・・
   ロ) 東電福島第一原発事故により環境中に放出された放射性物質による被曝の健康影響
   は、長期的な低線量率の被曝であるため、瞬間的な被曝と比較し、同じ線量であっても
   発癌リスクはより小さいと考えられる。

岩手~放射能汚染

$
0
0
 
 
大豆
ダウンロードPDFファイル (第7報)                   平成25年12月13日
                 採取日   Cs134   Cs137   計
   八幡平市(除.大更村)12/5       (<4.07)     (<4.84)    (<8.9)
   八幡平市( 同上 )  12/5       (<3.83)     (<4.33)    (<8.2)
   八幡平市( 同上 )  12/5       (<3.46)     4.23   4.2
   一関市
      油島村、涌津村  12/10     (<3.70)      (<4.99)    (<8.7)
      油島村、涌津村  12/10     (<2.73)      (<4.19)    (<6.9)
      油島村、涌津村  12/10     (<4.57)     4.35    4.4
      油島村、涌津村  12/10     (<3.43)      (<4.43)    (<7.9)
      松川村                12/10     (<3.67)     7.24     7.2 
      長坂村                12/10     (<5.78)     4.17    4.2
      田河津村             12/10    (<4.56)      (<4.64)    (<9.2)
   大船渡市-                12/9      (<4.21)      (<4.06)    (<8.3)
   陸前高田市(除.矢作村、竹駒村、横田村、気仙町)
                    12/9       (<4.37)      (<5.19)    (<9.6)
   陸前高田市矢作村    12/9       (<4.40)      4.16    4.2
   陸前高田市横田村    12/9       7.06   11.4     18
   陸前高田市横田村    12/9       (<2.52)      (<4.22)     (<6.7)
   住田町世田米町     12/9       (<4.20)      (<4.71)     (<8.9)
 
 ダウンロードPDFファイル  (第8報)                             1 2月2 0日
    八幡平市大更村   12/13    (<4.18)    (<4.64)   (<8.8)
   八幡平市大更村   12/13      (<4.14)      5.82     5.8
   八幡平市大更村   12/13      (<4.32)      5.82      5.8
   遠野市青笹村     12/11      (<3.65)      (<4.92)      (<8.6)
   遠野市青笹村     12/11      (<4.67)      (<4.22)      (<8.9)
   遠野市青笹村     12/11      (<4.42)      (<4.05)      (<8.5)
   遠野市青笹村     12/11      (<3.95)      (<5.20)      (<9.2)
   一関市厳美村     12/16      (<4.30)     10.9      11
   一関市厳美村     12/16       5.55   10.1      16
   一関市厳美村     12/16      (<3.16)      (<4.08)      (<7.2)
   一関市小梨村     12/17      (<3.94)      (<4.38)      (<8.3)
   一関市小梨村     12/17      (<4.61)      (<5.03)      (<9.6)
   陸前高田市竹駒村  12/16      (<3.50)      (<4.52)      (<8.0)
ダウンロードPDFファイル (第9報)                1 2月2 5日
   紫波町-        12/20      (<3.83)   (<5.18)    (<9.0)
   紫波町-        12/20      (<4.67)   (<4.27)    (<8.9)
   紫波町-        12/20      (<4.36)   (<5.19)    (<9.6)
   一関市藤沢町     12/20      (<4.57)   (<3.09)    (<7.7)
   一関市藤沢町     12/20      (<3.97)   7.74   7.7 
   一関市藤沢町     12/20      (<3.40)   (<5.24)    (<8.6)
   一関市藤沢町     12/20      (<3.84)   (<4.56)    (<8.4)
 
 
 そば
 ダウンロードPDFファイル (奥州市旧衣川村)          12月19日
                 12/17   (< 5 .5 )   (< 4 .8 )   (< 1 1 )
                 12/17   (< 4 .4 )   (< 5 .7 )   (< 1 1 )
                 12/17   (< 4 .3 )   (< 4 .6 )   (< 8 .9 )
                 12/17   (< 5 .0 )   (< 5 .7 )   (< 1 1 )
                 12/17   (< 4 .7 )   5.89   5.9
                 12/17   (< 5 .4 )   (< 4 .7 )   (< 1 1 )
ダウンロードPDFファイル (第21報)
  奥州市 前沢町      11/22    (< 4 .3 )     6.20    6.2
  奥州市 小山村      11/22     (< 3 .8 )      (< 5 .8 )     (< 9 .6 )
  奥州市 若柳村      11/22     (< 4 .5 )      (< 6 .6 )     (< 1 2 )
ダウンロードPDFファイル (一関市旧大原町)           11月21日
                 11/19     (< 4 .9 )      (< 4 .9 )     (< 9 .8 )
                  11/19      7.75  17.3    25
                   11/19     (< 4 .2 )      (< 4 .6 )     (< 8 .8 )
                                    11/19     (< 6 .4 )      (< 5 .2 )     (< 1 2 )
                                    11/19      8.34  19.0    27 
ダウンロードPDFファイル (第20報)                                     11月25日
  久慈市 -           11/21   (< 4 .5 )      (< 4 .2 )     (< 8 .7 )
  洋野町 -           11/21    (< 5 .5 )      (< 5 .1 )     (< 1 1 )
ダウンロードPDFファイル (第19報)                                     11月20日
    滝沢村 -                  11/18    (< 7 .5 )       9.01     9.0
    滝沢村 -                  11/18    (< 6 .3 )      (< 4 .6 )     (< 1 1 )
    滝沢村 -                  11/18    (< 4 .5 )      (< 6 .8 )     (< 1 2 )
    滝沢村 -                  11/18    (< 4 .6 )      (< 4 .8 )     (< 9 .4 )
    滝沢村 -                  11/18    (< 4 .4 )      (< 6 .3 )     (< 1 1 )
    滝沢村 -                  11/18    (< 4 .5 )    19.8      20
    住田町 世田米町        11/18    (< 3 .8 )      (< 5 .6 )     (< 9 .4 )
 
 ・・・
ダウンロードPDFファイル (第12報)                                     10月31日
  大船渡市 -        10/28    (< 4 .6 )     10.2     10
 
 
ダウンロードPDFファイル 県産そばの出荷制限の一部解除について   10月21日
            そばの出荷制限の一部解除について
  1平成24年11月30日付けで、原子力災害対策本部長(内閣総理大臣)から本県に指示
    されていた、奥州市旧衣川村の 「そばの出荷制限」 について、10月21日付けで、
    一部解除(25年産について基準値を下回った場合に出荷可能との内容)されたことを
    お知らせします。
  2 なお、当該区域においては、今後、そばの全袋検査を実施し、全ての検査が終了した後に、
    基準値以下の袋については、出荷・販売等が可能となります。
  3 一部解除された区域の作付等の状況及び今後の検査点数
    作付面積 約48.6a、生産者 9名、調査点数 9点(予定)
 
 
 
 
原乳の放射性物質の調査結果について (2013年12月27日)

地域名

調査地点名

放射性セシウム(単位:Bq/kg

セシウム-134

セシウム-137

県北西部

八幡平市(コールドセンター)
(<1.2
(<1.2

雫 石 町(乳業工場)
(<1.4
(<1.1

二 戸 市(乳業工場)
(<1.5
(<1.5

一 戸 町(乳業工場)
(<1.3
(<1.3

葛 巻 町(乳業工場)
(<1.5
(<1.2

県北東部

洋 野 町(コールドセンター)
(<1.0
(<1.4

岩 泉 町(コールドセンター)
(<1.3
(<1.3

県南

大船渡市(乳業工場)
(<1.5
(<1.1

遠 野 市(コールドセンター)
(<1.3
(<1.3

一 関 市(コールドセンター)
(<1.2
(<1.3

金ケ崎町(コールドセンター)
(<1.0
(<1.2

西和賀町(乳業工場)
(<1.7
(<1.2

食品衛生法の原乳の基準値   
50以下

 
 
 
 
川魚
水産物の放射性物質の検査結果 (2013年12月27日)
 
 
 米
ダウンロードPDFファイル 平成24年産(第1報)
 
 
                                          

宮城~農産物汚染

$
0
0
  基準値 100㏃/kg一般食品)、50㏃/kg(乳児用食品、牛乳)、10㏃/kg飲料水
 は、安全性を保証する数値ではない。  
 
 
 
秋そば
    平成25年産そばの放射性物質測定結果について  2013年12月6日
               ゲルマニウム半導体検出器
   〇秋そばの放射性物質調査に関する基本的な考え方
     (1) 平成24年産検査で 100Bq/kg を超える放射性セシウムが検出された旧市町村
             :全量全袋検査
     (2) 平成24年産検査で 50Bq/kg を超える放射性セシウムが検出された旧市町村
      及びその隣接旧市町村
             :旧市町村毎に全戸相当検査(平均作付面積毎に検査点数を設定)
     (3)  (2)の対象区域となる旧市町村以外の地域で 24年産検査において
      全戸検査密度で検査を行った地域
             :旧市町村毎に 3点を検査
     (4) その他の旧市町村      :旧市町村毎に 1点を検査
 
  平成25年12月6日公表(第22報)   登米市 旧北方村
   測定した2点において,食品衛生法の規定に基づく放射性物質の基準値(100㏃/㎏
  以下であり,安全性に問題がないことが確認されました。
  この結果により,以下の旧村で生産された平成25年産秋そばは通常どおり出荷,販売
  等が可能となります。
 
    4 検査状況
     ① 検査済点数
    検査点数(計画) 検査済点数  不検出       50Bq/kg超    100Bq/kg超
                        ~50Bq/kg以下  ~100Bq/kg以下
        321        97       96          1           0
 
  平成25年12月4日公表(第21報)    美里町 旧敷玉村
        321        95       94          1           0
  平成25年12月3日公表(第20報)    栗原市 旧栗駒村
        321        94       93          1           0 
  平成25年11月29日公表(第19報)   加美町 旧小野田町、 大崎市 旧鳴子町
        321        93       92          1           0
     ・・・・
   平成25年11月11日公表(第8報)          白石市  旧小原村、 東松島市 旧小野村
        321        24       24          0           0
    平成25年11月 5日公表(第7報)     南三陸町  旧歌津村
        321        20       20          0           0
 
                                                          平成25年10月31日公表
        Cs134      Cs137
        (4.1)      (4.7)
        (5.3)      10
         (5.9)             5.1
        (4.5)      (4.8)
        (5.5)      4.8
                 (3.7)              (4.9)
                  (6.1)            7.0
 
 
大豆
                            出荷自粛解除  平成25年12月24日
        一般財団法人日本穀物検定協会
                         検査日      Cs134             Cs137  
名取市増田町H25.12.16 (3.2)(4.0)
増田町12.16 (4.2)(4.4)
増田町12.16 (3.6)(3.5)
増田町12.16 (3.9)4.8
愛島村12.16 (6.0)9.6
愛島村12.16 4.311
愛島村12.16 (3.6)5.5
愛島村12.16 (5.0)4.3
愛島村12.16 (5.3)6.9
愛島村12.16 (5.6)6.8
愛島村12.16 (4.9)4.9
愛島村12.16 (4.0)8.2
白石市小原村12.20 (3.6)6.2
石巻市北村12.20 (4.1)4.6
石巻市北村12.20 (3.4)4.9
石巻市北村12.20 (3.3)(4.3)
栗原市尾松村12.20 (3.8)(3.8)
栗原市金成村12.20 (3.4)(4.0)
名取市増田町12.20 (4.3)(2.7)
増田町12.20 (4.5)4.0
増田町12.20 (3.1)7.2
増田町12.20 (3.2)5.1
増田町12.20 (2.7)4.5
増田町12.20 (3.9)(3.2)
増田町12.20 (3.8)(4.0)
愛島村12.20 (4.1)(4.3)
愛島村12.20 (3.4)(3.5)
愛島村12.20 (6.5)5.3
愛島村12.20 4.49.3
愛島村12.20 (4.1)5.3
愛島村12.20 (3.3)5.0
愛島村12.20 (4.1)(3.9)
高館村12.20 (4.1)(4.3)
高館村12.20 (2.8)(2.9)
高館村12.20 5.4117
 
 
 
 
 

「福島を切り捨ててはならない」 山田真(小児科医)

$
0
0
 
第8回定期総会講演 「福島を切り捨ててはならない 」   
             山田 真(小児科医)
 
放射能を感じることが重要
 今 この会場の線量は 0.06μ㏜。放射能は その存在を忘れてしまいがちだが、私たちの
周りにはいっぱいある。忘れてしまうと 国や東電の責任を免罪してしまう。 私は 線量を
いつも計るようにしている。私の持っている測定器は 10万円ほどの器械。 高価だから個人で
持つのは 大変かもしれないが、グループで持って測って放射能を実感したほうがいい。
  放射能について 国は いいかげんな計測しかしていない。 東京都は 新宿で測っている値を
発表しているが、このところ 0.05μ㏜くらいになっている。しかし 江東区は 0.15~20μ㏜
くらいある。 国民は 正確な情報を知らされていないので、嘘になれてしまっている。
  福島は 「あきらめた」という状態になっている。 国・県・専門家、誰も信用できないから要求も
しない。自分たちだけで 守っているので限界があるが、国や県に要求すると 碌なものが返って
こない。このごろ福島に行くと 「 それでいいのか 」と思い、切ない気持ちになる。
 
救援連絡センター設立のころ
  救援連絡センターができた頃は、東大闘争からはじまる全国学園闘争があり、市民や労働者
の闘いがあり、日常的に逮捕者やけが人が出た。 1968年の東大闘争の時 私は卒業して医者
になっていた。 医療救対ということで デモ隊について 救急箱を持って一緒に走ったが、とても
処置できないので、慈恵医大を拠点にして 一時的な野戦病院を作り、救援活動をしていた。
なりたての医者を集めたが、人のけがを縫ったこともない医者もいた。けがをした人の中には、
あそこで縫うよりは捕まったほうがいい、という話もあった。かなり滅茶苦茶な医療をやっていた
と今思う。
 そういうなかで、共産党系の国民救援会はあったが、対抗するものを作ろうと救援連絡センター
を作った。亡くなられた水戸巌さん 郡山吉江さん 私が医療側ということで 3人くらいで始めた。
今回、水戸さんのことを思い出したが、水戸さんが生きていたら嘆かれたろう。水戸さんは、
原子力の専門家で 原発に反対し、原発労働者の被曝問題にも関わっていた。水戸さんが
生きていたら 今回の原発事故は 起きなかったかもしれない。
   獄中医療については、拘置所に毎週かよったこともある。制限時間なしに接見していたが、
実際には金網越しにしか見ることができなかった。先進国といわれる国の中で、日本の獄中医療
は劣悪だ。 私が関わっていた 30、40年前から良くなっていない。獄中にいる、存在することで
起きる病気を 「獄原病」 という名前をつけた。 「現代用語の基礎知識」の今年のキーワードと
いうので載ったこともある。 外の医者が行って治療する、その判断によって 本人が希望する
病院で治療するということを確立しなければいけない。密室治療は恐ろしいと思う そんな経験を
してきた。
 
日本が放射能に無警戒なのは何故か
  昨年、3月11日に福島原発で大事故が起きたが、その半年くらい前に 「母の友」という雑誌の
連載で医療被曝のことについて書いていた。日本人は 放射能について警戒心がない、という
問題提起をしていた。
  広島・長崎を経験していながら どうして医療被曝のことが問題にならないのか不思議だった。
5、6年前、ヨーロッパの科学者が 世界中の医療で使われる放射線の現状について調べた。日本
は レントゲンを撮る率が きわめて多い。学校で 全員がレントゲン検査をやることは、日本しか
行っていない。 欧米では 労働者への検診は、被曝するデメリットと診察のメリットを考えると
意味がない、ということでやられていない。
  最新の機械であるCTの時代になって アメリカなどと比較して 日本が何十倍も被曝している。
CTの 3分の1は日本にある、といわれている。 日本人は 欧米に比べて何十倍か被曝している。
ヨーロッパの専門医達が不思議がるのは、日本は広島長崎で被曝して放射能の怖さを知っている
国民であるはずなのに、放射能を警戒しないのはどうしてか、ということ。
 ヨーロッパの科学者達が計算すると、治療のメリットと被曝のデメリットを比較すると発癌のデメリット
のほうが大きく、レントゲンということがプラスになっていない。にもかかわらず 日本では話題に
ならないのはどうしてか、と言っている。日本の専門家達は ヨーロッパから言われるけど、放射能の
危険性について どうやって計算して出すのかと言う。
広島の被曝者の資料しかなく、広島の被曝の仕方 と 医療の被曝はスタイルが違う。だから、
広島を資料にして危険だと言われても 耳を傾ける必要がないと言うのが 日本の科学者の態度。
 
 日本が放射線に無警戒なのは何故か、これまで解らなかったが、今回、3・11福島原発事故
で はじめて解った。日本は被曝国だから、放射能に対する発言権を世界で一番持っている。
核保有国としては、日本人に 一番安全だと見てもらわなければ困る。それで、原爆が落とされて
以降 周到にアメリカによって作られたABCCという機関を通じて、被曝の実態をなるべく小さく
見せてきた。
福島で起きたことは、広島、長崎、第五福竜丸、東海村臨界事故という一連の流れの中にある。
広島長崎、第五福竜丸、東海村臨界事故の人々が受けてきた過酷な隠蔽工作が 福島で明らか
になった、ということである。
 
福島の子どもたちの現状
  福島の現状は、被害を訴えているにもかかわらず、見捨てられようとしていることが明らかに
なってきた、ということだ。 私は 昨年6月に はじめて福島に行き、その後 10回くらい行った。
福島の子どもたちの健康相談会をやっているが、実際には 子どもたちのからだに大きな変化
は 今のところは起きていない。
 だが今起きていないというのが 実は怖いことで、10年、20年経って起きても何の補償も出ない
可能性がある。広島よりもひどい状態が起きるのではないか、相談会でも親御さんは それを
心配している。多いときは 10人くらいの医者が集まって相談会を担当するが、1人1時間くらい
ひたすら聞く。そして、私たち医者ができることは多くない。大丈夫だと言うわけにもいかないし、
こんなふうに危険だとも言えない。一緒に続けて闘おう、子ども達を きちっと見続けようとしか
言えない。最初の頃は 「避難しようかどうか」 という相談が主だった。そして、避難できる人たち
は福島を離れた。 自主避難する人を非難する人がいるが、それはおかしい。避難する人たち
は基本的に正しい。
 ところで ぼくの自宅へ昨日まで モンゴルの人たち五人ほど来客があった。モンゴルの人達
が日本に観光でやってくるのは危険かと聞かれて 私は答えることができなかった。どうしても
返事をしろ、東京は 安全かと聞かれたら、「 小さい子はこないほうがいい 」としか言えない。
 
福島現地で起きている分断
  福島では 最初の頃も分断が起きていた。大きな事故が起きると様々な差別が起きる。福島は
3つの地域に分かれている。原発のある浜通り、福島から郡山へ向かう中通り、そして会津と
いう地域。 原発があれば豊かになるよ と宣伝して、浜通りという貧しい所へ原発を持って行った。
 浜通りは回復できない、と国は思っているだろう。会津は福島の中では東京並に線量が低い
地域が多いのに福島とひとまとめにされて、農産物も売れず困っている。中通りは 深刻な状態
にあって、様々なところがある。福島市は 完全に沈黙させられているが、郡山は 闘いが組め
ている、いわきは 復興を目ざしている、というふうにさまざまなのだ。
   地域的な分断の他に、色々な対立がある。避難していた人と残った人、家族の中でもお母さん
は子どものために避難したいと思う、お父さんは仕事があるから避難できない、おじいちゃん・
おばあちゃんは 「 たいしたことないと言われているから、ここに残っていても大丈夫だ 」と言う。
家の中でも意見が違い、家族のなかでも厳しい状況がある。私たちは「 小さな子どもたちは
避難したほうがいい 」と言っている。
  6月の頃は 相談会も なごやかな雰囲気だった。7月になって 戒厳令になったという気がした。
福島では放射能が不安だと言うとバッシングを受ける状態になっていた。とりわけ福島市が強く
色々な規制をしている。外に出ている子どもに対して、「早く教室へ入ったほうがいい」「長袖の
シャツを着ていたほうがいい」くらいの注意をした教師に育委員会から指導が入る。それで、
何人かの学校の先生が辞めている。
 
医師会は放射能を無視
 福島市の医師会は全員「 放射能は心配ない 」と口裏を合わせることになっている。最近は
子どもを連れたお母さんが受診して、放射能と 一言いうと 横を向き診てくれないという状態に
なっている。山下俊一教授という悪名高いピエロがいるが、実は悪の中枢ではない。 前面に
出てきて 非難されても英雄気取りになっている山下みたいのは どこにでもいる。 亡くなった
重松逸浩とか長崎大の長滝重信とかもっと悪い人がいる。
  昨年9月に福島で国際会議が開かれ「 もう福島は収束した。将来も健康被害はない 」と宣言
されてしまったが、主催したのは日本財団だった。福島では 健康被害なしとするため 山下など
が動いている。
  福島の個人病院で健康診断をしようとしたら、福島市からストップがかかり、「 山下さんと相談
してからやれ 」と言われた。 山下としては 自分たち以外の健康診断はやらせない。 勝手に
やった健康診断で被害はなし、将来も大丈夫と言ってしまう。 他の所でやるとそういう結果は
出ないわけだから、自分たちの健康診断のおかしさが暴露されてしまうから止めている。
それで、福島の医者は動きがとれない。
 
食物による内部被曝を減らしたい 
 外部被曝を避けようとして ずっと家に籠っている訳にもいかないので、まず、食べ物・飲み物
による内部被曝を減らしたい、と思っている。
福島の小中学生が、日本で 一番福島産の食材を食べている。総理大臣がカイワレを食べた
という下らない パフォーマンス はあるが、その パフォーマンスを福島の子どもたちが集団でやらされ
ている。 ただちに被害は出ていないから 「大丈夫だろう」 と 微かな期待をかけさせられ、福島
の子どもたちが福島産の食材を食べさせられ、牛乳を飲まされている。福島産以外の食材を
使ってほしい と要求する親は まわりの保護者から非難される という とても辛い状況になって
いる。
  何とか避難できる人たちは避難した。福島で運動してきた人も かなり福島から引っ越した。
これまで、福島が危険だと言いながら 福島を出ないということで、「 危険だと言いながらいるの
だから、本当は危険ではないのではないか 」という声が浴びせられた人もいる。
「 残るも地獄、出るも地獄 」と言われている。東京に避難している人たちも楽に生活している
わけではなく 「 福島に帰りたい 」と思っている。 避難先も 1位は 山形で、2位は 米沢で、3位は
新潟、4位北海道という順序になっている人が多い。
一旦出ると、たとえ将来線量が減ったとしても帰れないと思っている人が多い。
 また、福島出身ということで差別されるのではないか、という気持ちが非常に強い。実際に
子供を幼稚園に入れようと連れて行ったら「 福島の人は遠慮して下さい 」と断られた例がある。
人権問題にしようと思ったが、お母さんが「 幼稚園の名前は絶対に言わない 」と 頑なに拒否
するので それ以上できていない。
   福島で健康相談会をはじめて驚いたのは、400人くらいきたこと。東京でも沢山くるだろうと
思って 東京で相談会を開いたが 30人くらいしかこなかった。 福島の人達は避難先で福島出身
ということを明かさない、としているようだ。
例えば 江東区の東雲(しののめ)に固まって避難している人たちは、福島出身だということが
わかっているはずだが、それでも外と連絡をとりたくない、という人が多い。 広島の被曝者が
被曝者であることを隠してきた ということを 福島の人たちが知っているわけではないと思うが、
直感的にわかるのかと思う。
  福島のお母さんと話していると、女の子は福島とわかると結婚できなくなる、子どもを生めない
のではないかと心配している。 福島という名前で差別されるということを実感している人たちが
多くなっている。
 
被曝と補償の関係
  福島に残った人で 「心配だ、不安だ」 という人には風評被害だ、という非難が集中するという
つらい状況にある。どうして 山下俊一教授が活躍して「 なんでもない 」と言うかというと、補償
の問題があるからだ。平凡社新書で出ている 「被ばくと補償」 という直野章子さんが書いた本
がある。 「広島、長崎そして福島」 と書かれているが、広島での補償の状態が書かれている。
  広島で被曝した人たちについて、色々な形で書かれている。直接、爆心地近くに入って動き
回った人たちも被曝の対象になっているが、遺体を 10体以上収容・処理の作業をした人が
被曝者と認定されている。 9人の遺体を処理した人は 被曝者にならないけれども、10人を処理
した人は被曝者になっている。 後から被爆地に入って遺体を収容したお母さんや、背中に負ぶ
われていた子供で被曝の対象になるのは 2歳以下の子供。実際に 赤ちゃんを背中に負ぶった
お母さんが小学校の子どもの手を引いて 被曝者10体以上の収容を手伝ったが、赤ちゃんと
お母さんは認定されたが、小学生はどこにも入らなかった。 3人連れで歩いていながら 小学生
だけ認定されない、という悲惨なことが起きている。
 
  実際に 今問題になっているのは、内部被曝、低線量被曝であり 広島では補償されていない。
沢山の被曝者が切り捨てられている状態で、今、低線量被曝について語ることができるのは、
肥田舜太郎さん、矢ヶ崎克馬さんといったお医者さんたちだが、この人たちは被曝者の訴訟に
関わってきた人。そういう人たちしか 低線量被曝した人たちに寄り添ってこなかった。他の人
たちは、多くの専門家たちは低線量被曝、内部被曝はない、ということにしてきた。
 1991年亡くなった中川保雄さんという人が書いた「放射線被曝の歴史」という本や、チェルノブイリ
のあとカール・Z・モーガンという国際放射線防護委員会で最初の委員長だった人が1994年に
書いた 「原子力開発の光と影」という労作がある。 モーガンという人は 低線量被曝、内部被曝
を告発したから委員長をおろされた。「 モーガンは立派な人だが、精神状態に異常をきたして
変なことを言うようになった 」という情報が 日本に入ってきたが、この本はモーガンが九一歳
の時に書かれたもので立派な本。 モーガンやゴフマンなどは追放されている。  ロシアでも
チェルノブイリで真実に近いことを伝えた学者たちは、ほとんど追放された。旧ソ連の学者では
ヨーロッパに亡命している人もいるし、汚職をデッチあげられて禁固刑になった人もいる。放射能
の健康被害について告発した人たちは、ことごとく抹殺されてきた。今回の福島についても最初
から被害隠しが行われている。
 
研究材料としての健康診断
 国は勝手に健康診断して、後になって 「なんでもなかった」 という結果を出してくる。東海村の
臨界事故3人作業員高線量被曝をしているが、2人亡くなって 1人は その後どうされた
かよくわからない。それ以外に 二百数十名の人が被曝している。この人達は 体の中のナトリウム
量を調べ、1番多い人で 42㏜だった。それで、50m㏜以下では 将来にわたって影響はない、
ということで事故調査委員会は終わりにしてしまった。蓋はしてしまったが、この人達は毎年
健康診断をしている。 広島もそうだが、治療の対象ではなくて 研究材料にされている。
アメリカにとって 広島・長崎は爆弾の威力を計る実験だったわけで、放射線の被害を浴びた
人達が どんな状態か知りたかったはず。 そういう意味では 調査・研究はするが、「 健康被害
が出るかもしれない 」と言うと拙いので そういう言い方はしない。東海村事故の時も毎年やる
健康診断については、「健康被害はないのだから 毎年やる必要はないが、住民の中に
不安を持つ人がいるので 不安を解消するために健康診断をやる 」と言っていた。
  今回の福島についても 18歳以下の甲状腺癌の調査をやる、ということを発表した際に、
東京新聞の記者が山下教授に聞いたら、「 健康被害はないのだから、本当はやる必要がない
のだが、住民の不安に応えるため 」と言った。健康診断をやる場合、最初から「 全員異常が
出ない 」ということなら 健康診断などやる必要はない。今、福島では 「ない」 と想定した上で、
健康診断をやっている。
 
  最初、浪江地区とか大熊地区とかの強制避難地域の住民には、60ページの分厚いものが
渡されて、3月11日以降の、行動記録、食事記録を全部書けと言う話だった。そんな周辺の
人達は 11日から14日くらい ほとんど何の情報もなく、食事のことなど覚えていない。私たちが
東京で水素爆発の状況を テレビで見ていた時に、水素爆発を知らなかったという人が あの地域
に多数いる。ほとんど噂がネットで伝わったという状態で、電話も電気も使えない状態だった。
 3月12日の沢山の放射能が降り注いでいる状態で、背中に赤ちゃんを負ぶって屋外で待って
いた、というお母さんが何人もいて悔やんでいる。東電や国を責めるのではなく、自分を責めて
いる。自分が 迂闊で情報をつかめなかったために、この子をこんなにしてしまったと思っている。
お母さんの責任ではなく、国や東電が悪いのだが、実際には そういう人たちが多い。
避難所にいれば、食事の状態なども分かるのだが、日常生活の延長は特別なことがないから
覚えていないし書けない。回収率かったのだが、行政書けというのでかなり書いた。
その結果、勝手に線量が 1人1人出され、「 このくらいの線量しか浴びていないので一生健康
については問題ない 」と書かれたものが返ってきている状態。 こんなものが信用できるわけ
はない。
 
全ての問題は被曝の問題だ
   結局、全ての問題は被曝に対して どう補償されるのかという問題であり、現地の人達も私達
も被曝手帳を早く作れと言ってきたが、作らないし、被曝者認定はしていない。
実は 被曝者という言葉は使わない方がいい、という意見もある。被曝者と言うと証明しなけれ
ばならない。どのくらいの線量を浴びたという線引きがされてしまう。それは被害者を限定する
ことになる。実際には 被曝量は分らない人が多い。被曝者というより 被害者という方が正しい
と思う。そして、最低限、一生にわたる補償をしてくれないと困る。
 国は補償を少なくするためには被曝者を最小限にしようとする。結局 チェルノブイリでも、国際的
には被害を最小限にして 子どもの甲状腺癌だけが被害であるように言ってきた。しかし、それ
以外に 大人にも子供にも 各種の癌が増えているし、免疫力の低下や循環器の異常など様々
な被害が出ている。 しかし、因果関係が証明されないということで、原発の被害ということに
なっていない。甲状腺癌については 隠しきれなかったということだが、日本では甲状腺癌さえも
隠そうとしている。
  補償の問題になると 因果関係の立証ということになるが、放射能が原因ということを証明する
ことは ほとんどできない。どれが原因か明らかにする力は 今の医学にはない。放射能特有の
症状というのはないので、ある地域で 年間1人しか甲状腺癌が出なかったのに、10年後に10人
に出たとしたら、影響があったと認めなければならない。だが、1人1人放射線の影響があった、
なかったと見分けることは医学の力ではできない。そうすると、全ての子どもに放射線の影響は
ないとして切り捨てるか、全ての子どもに影響があり補償の対象にするか、どっちかしかない。
加害者側が そうじゃないと証明できない限り、全ての人に補償すべきであるというのが森永ヒ素
ミルク中毒事件、水俣病でやられてきたもの。
これが福島では非常にしにくい。一つは地域が限定できない、そして被害者が非常に多いこと
が要因である。
 
マスコミの状況と避難問題
 今、渡利地区が問題になっている。しかし、こうした現地の情報が全国に伝わらない。東京
新聞、共同通信くらいは現地に入って取材しているが、他の所は現地取材をしないで記者クラブ
情報だけ。福島民報は 県の御用新聞みたいになっているので 「福島は大丈夫・安全」「全て
の検査をしたが何の被害も出ていない」 という報道しかしない新聞になっている。その受け売り
をしている東京の新聞を読んでも、福島の状態はわからない。
  渡利地区は 福島の中心部に近い地域、阿武隈川をはさんだ向かい側が官庁街という立地。
渡利地区を汚染地区にすると、福島市全域を避難地区にせざるを得ない。福島市全体を避難
地区に指定すると、20万人規模の人達が補償の対象になる。渡利地区は線量を測ってみると
4μ㏜という 東京から見れば 100倍くらいの線量があったりする。実際に 2月に相談を受けた
おじいちゃんは「 家の中であちこち線量を測ったら 20μ㏜もある場所があった 」という 恐ろしい
地獄のようなところで暮らしている。
福島が避難地区と認められないと、それより少し低い郡山などは到底認められない。渡利地区
は橋頭堡の所であり、渡利地区を認めさせることができれば、もう少し避難地区を広げられる。
そのへんのところで闘いが止まっている、というのが今の状態である。
 
 実際に 水俣病の闘いのことなど考えれば、今度の事故で 東電という会社の入口は 座り
込まれて、機能停止になっていても当たり前だと思うが、敵が 国なのか東電なのか見えにくい
状態になっている。 私は、もはや 国が相手ではなくて 核保有国・国連レベルの問題であると
思う。 基本的には、アメリカの問題だと思う。情報も アメリカが流していいという情報は流せるが、
流していけないという情報は流せない状況であって、山下教授をはじめ専門家といわれる
人達もアメリカの傀儡だと思う。
 ABCCの流れを酌み放射能の被害をできるだけ低くするように、世界規模で押さえつけている。
福島原発事故は非常に大きな事故であって、世界的に見て大変なことが日本で起って
いるのだ。
 
集団訴訟を起こし、福島を切り捨てない
 これから何をするかだが、非常に大きな問題が沢山あって、とにかく早いうちに集団訴訟を
起こすことが必要だと思う。今は 10何人の訴訟が行われているが、もっと大きな訴訟にする。
東京など被災地だと思っている人達を集めて大きな訴訟にしていかないと風化し 、新聞社も
関心を失っている状態になっていく。特に 今年になってから、避難という言葉もあまり使われ
なくなり、かわりに保養をすすめようということになってきた。
 これまで、子供たちを1週間、10日と疎開させるということをやっていたが、その程度のこと
では間に合わない。子供達の体の中から セシウムを出すために、北海道と福島の学校が提携し、
1年生北海道学校に通って 1ヵ月したら帰ってきて、その後 2年生行くとか、長期月単位
の保養をしていこうという話になっている。
それは、国が何もしない、補償の見通しもない、生活を立て直してくれるという方向性も見えない
なかで、悲しい選択だと思う。
 
  私たちは、沖縄を切り捨て、広島を切り捨て、長崎を切り捨ててきた。そして何もなかったかの
ように復興してきた。福島についても、福島を切り捨てた上で復興しようという姿勢が国に見え
ている。その中で 切り捨てられまいとして、福島があがいているというのが今の状態だと思う。
福島の問題は福島だけの問題ではない。私たちは、沖縄、広島、長崎、第五福竜丸を切り
捨ててきたという歴史を 今こそ断ち切らなくてはならない。
 
 
 

放射線健康不安~環境省・福島県(3)

$
0
0
(2) のつづき
 
放射線の健康影響に関する専門家意見交換会(第3回)
 
        12月21日(土) 13:30~16:30 ホテルサンルート白河 富士の間
                                          福島県西郷村
    14:20~15:00 講演「放射線による発がん影響-甲状腺およびその他のがん-」
      国立大学法人 岡山大学環境生命科学研究科人間生態学講座 教授津田敏秀 氏
 
 
 <津田敏秀氏の講演>(続)    1:16~
 
  妊娠中の放射線と小児癌のリスク比
 
  アリス・スチュワートの論文によって、
 1950年代から80年代にかけて、多くの国で 
 妊娠中の胎児への放射線の影響が調べられた。
 
  Doll & Wakeford : Br J Radiol 1997 ; 70: 130-139 
     研究(研究機関)     分数の逆数   相対危険(未調整)  95%信頼区間
    Oxford小児癌調査
     (1953‐81)          852.4      1.39       1.30-1.49
    北東部 United States
           (1980-82)           114.7      1.47       1.22-1.77
    inter-regional study,
          UK (1980-82)          39.0      1.23                0.90-1.68
    Los Angeles
         (1950-57)白血病        23.9      1.34                0.90-2.00
    Louisiana (1951-55)          18.3             1.70       1.08-2.69
         Helsinki  (1959-68)     17.9              1.18       0.74-1.87
    Califonia (1955-56)白血病 17.8       1.68        1.06-2.67
    Tti-state (US)
              (1959-62)白血病    16.6      1.40        0.87-2.27
         Swedish twins (1952-83)   11.6      1.38         0.78-2.46
         Minnesota(1953-57)白血病10.2             1.28              0.68-2.37
         All other            42.4       1.13                0.84-1.53
    All except Oxford 小児癌 312.4       1.37        1.22-1.53
    All              1164.8      1.38        1.31-1.47
 
 
  妊娠中の放射線照射と小児がん オックスフォード小児がん調査(1953〜1967) http://goo.gl/nP4xX7 #iwakamiyasumi4
 
  全部、統計的に有意な上昇が示されている。
 
  このような研究によって、
  現在 どこの病院のレントゲン室の入口にも、
  妊娠、or 妊娠の疑いのある方は 必ず申し出るように 張り紙
  されるようになった。
 
  100m㏜以下は がんの影響が出ない というのは、こういう日常の光景に反する。
 
 
   CTスキャンと小児白血病
  
     CTスキャン  白血病   白血病     粗発生率比  
       の回数   発生数  追跡人年    95%信頼区間
      1回     45例   1,239,170     1
     2~4回    22例         429,324       1.41(0.85‐2.35)
     5回以上    7例     52,493    3.67(1.66-8.14)
 
  CTスキャンと小児脳腫瘍
 
     CTスキャン  脳腫瘍   脳腫瘍      発生率比  
       の回数   発生数  追跡人年    95%信頼区間
      1回     72例    862,661     1
     2~4回    22例         291,192    2.19(1.19‐4.04)
     5回以上    7例     34,354    4.51(2.50-8.14) 
     合計     135例   1,188,207   
        Pearce MS et al. Radiation exposure from CT scans in childhood and subsequent
               risk of leukaemia and brain tumours:a retrospective cohort study. Lancet 2012; June 7
 
      CTで子どものがん危険増 国際チームが疫学調査
                      東京新聞 2012年6月8日
       【ワシントン共同】子どものころにコンピューター断層撮影(CT)検査を2~3回受ける
      と、脳腫瘍になるリスクが 3倍になるとの疫学調査結果を英ニューカッスル大などの
      国際チームがまとめ、7日付の英医学誌ランセットに発表した。
      5~10回のCTで白血病になるリスクも3倍になるという。
      チームは「 CTは 迅速で正確な診断に優れ、短期的な利益が長期的な危険性を
             上回る場合が多い。しかし、1回の被曝線量はできるだけ低くし、別の診断法がある
      場合はそちらを選ぶべきだ 」と訴えている。
              チームは、1985~2002年の間に英国でCT検査を受けた 22歳未満の 約18万人を調査。
 
 
 
 100m㏜問題のまとめ
 
 ・100m㏜以下の被曝でも 放射線による がんは増加する。
 ・100m㏜以下の被曝でも がんの増加は 実際に多数の事例で観察されている。
   ―― 10m㏜毎に、或は それ以下の単位で確認
 ・「 100m㏜以下の被曝では がんは出ない 」とは、2011年4月から 2012年4月
  までの 放医研のHPを除き、専門家は誰も言っていない。
   ―― 伝言ゲーム、噂話の結果?
 ・「 100m㏜以下の被曝では がんは出ないかどうか分らない 」というのは、
  統計的有意差がないという意味のようだ。
 ・「 統計的有意差がない 」は、広島長崎の被爆者データに基づくが、(これは)
  「がん」は 放射性感受性の低い がんを含む「全がん」であり、全年齢を対象
  にしたものである。
  ―― 統計的有意差が出る条件を、福島県の被曝者は 複数満たしている。
  ―― 私たちが「多発している」という時は、 「あの年齢層に」 「あの がんが」
     と認識し、「全年齢層に 全がんが」とは認識しない。
 
    この100m㏜以下の発がん問題が、
   国内での 医学的根拠に基づいた建設的議論を排除した。
 
 
          ◇    ◇    ◇    ◇    ◇
 
  2.
   ここから、福島県における甲状腺癌の多発について    1:19~
 
   アウトブレイク疫学 
                     ・アウトブレイクの疫学調査 基本ステップ
                          疫学調査 (公衆衛生ネットワーク)
 
    Frank C et al, : Epidemic Profile of Shiga-Toxin-Producing Esherichia coli O104:
       H4 Outbreak in Germany. N Ehgl J Med 2011; 365:1771-1780
 
                  O104:H4(Escherichia coli O104:H4 腸管出血性大腸菌
            2011年にドイツを中心として O104:H4による大規模感染
            (2011年の欧州における腸管出血性大腸菌感染事件)が発生した。
                                (国立感染症研究所)
            ドイツにおけるEHEC(非典型的な腸管出血性大腸菌)感染症は 例年 1000例程度
                         の報告がなされている。今回のアウトブレイクでは、5月8日~7月4日の間に
            3842例のEHEC感染症患者が発生した。加えて、EHEC感染症患者のうち HUS
            (溶血性尿毒症症候群)症例は 855例 と 極めて多数にのぼった。
                         例年 同時期のHUS発生数(約13例) と比較して 67倍の増加となる。これは、
                         EHEC感染者が多数発生したことに加え、有症状者に対する HUS発症割合が顕著
                         に高いことに起因する。有症状者に対するHUS患者の割合は 通常5~10%と考え
                         られているが、本事例では 22%と 非常に高い割合で HUSが発生した。死亡者
                         も 53名と多く、これまでのEHECアウトブレイクの中で 最も大きな インパクトを与える
                         事例となった。また、今回の事例では 患者発生が ドイツ以外の複数の国で確認
                         され(1 5カ国で、54例の HUS症例を含む 137名の感染者)、国際的な広がりが
                         認められた。・・・
 
          埋め込み画像への固定リンク
 
   早い発見・早い対応で 被害は小さくなる( 赤色の小山。黄色の山の被害を抑止
   した )が、遅い発見・遅れた対応では 被害は大きくなる( 黄色に隠れた赤い山 )。
 
   アウトブレイク 疫学では、時間との競争の部分が必ずある。 時間を無視して
  因果論争ばかりして 対策が遅れてしまうという落とし穴が 常にある、その所
  に注目して どんどん時間が経っていくうちに 患者が広がることを考慮する
  のが、アウトブレイク疫学。 黄色い部分は 「予防可能な患者」ということになる。
 
 
  自治体向け食中毒疫学研修会
  ・ 1998年から毎年、岡山市、岡山理科大学、岡山大学主催で開催
  ・ 最初は中国地方の自治体だけで出発し、現在は北海道から沖縄まで
   全国の都道府県、中核市から参加
  ・ アウトブレイク調査を、食中毒事件の時の調査対策を中心に研修し、
   健康危機管理全般を視野に置いて、講義・演習
 
  全国の自治体・保健所の方々と調査研究をしながら歩んできました。
   食品安全叢書シリーズ 食中毒の疫学講座社団法人日本食品衛生協会 3675円
                                2012年1月20日発行
   食中毒事件における調査対策について書いた アウトブレイク 疫学の教科書で、
  自治体職員を対象とした研修会で使用している。 メディア対応も書いている。
 
  なぜ メディア対応が必要か?
   アウトブレイク時には 情報混乱は とても大きな無駄なエネルギーを裂いてしまう。
 
  ・ アウトブレイク時の情報混乱を少なくするため
    ―― メディア対応の混乱が 情報混乱を引き起こし、住民の信頼を失う
  ・ 住民に必要な情報を、メディアの協力を得て広めることにより、住民の信頼を得る
    ――  なぜ 住民の信頼を得る必要があるのか?
  ・ アウトブレイクによる人的被害や経済的損害を 最小限に抑える目的を達成するため
 
   医学における因果関係に関する基礎知識の解説
   『 医学と仮説――原因と結果の科学を考える 』(岩波科学ライブラリー) 
                                      津田敏秀著 税込 1260円
  また、日本で医学情報の混乱が起きる理由の考察
   『 医学的根拠とは何か 』(岩波新書) 津田敏秀著 756円  発売日 2013/11/21
 
  これらの本は、保健医療情報の根拠が何かを明確にし、アウトブレイク時の混乱を
  避けるためにも必要。
 
 
  人の健康影響に関するデータの読み方の約束
 
  ① 因果関係は 直接 観察できない
 
      原因 ―――→ 結果
     (曝露)       (病気)
 
     原因は観察可能、結果も観察可能。
    しかし、因果関係(青矢印部分)は 直接観察できない。
     見えないし 聞こえないし 味もしないし 匂いもしない
    では、「第六感で(やりましょう)」というわけにはいかない。
 
     あくまでも、観察データに基づいて推論するのが 科学の基本。
 
  ② 因果関係を見えるようにするために 
 
                   暴露(被曝)の情報と疾病の情報に基づいて   
    人のデータでのルール
 
            ‣          曝露患者の数             ‣
       ‣     暴露した住民の数×暴露状態相当で過ごした時間         ‣
           ‣           非曝露患者の数                
          ‣暴露しなかった住民の数×非暴露状態相当で過ごした時間‣
 
                       曝露した人の発生率
     = 発生率比(IRR) = ――――――――――――
                      曝露しなかった人の発生率
 
       1倍付近であると多発していない。 1倍より大きくなればなるほど多発。
      今回の事例の場合、市町村発生率が 「曝露した人の発生率」、
      1975-2008年の日本全国平均発生率国立がんセンターが 「非暴露発生率」。
 
   ③ この病気は 何倍多発しているのか?
 
      原因 ―――→ 結果
     (曝露)       (病気)
 
     因果関係による影響の大きさを、「発生率比」で推定する
         さらに、因果関係を推論する。
     例えば、
      たくさん曝露すればするほど、この発生率比は高くなるのかどうか?
      これを、「量ー反応関係」と呼ぶ。
 
     時間が経過し、より多くの情報を集めれば、
     さらに正確に推論することが可能になる。 これは 毎日の天気予報と同じ。
      データが加わるごとに、分析し改訂していく。
        (情報が増えれば、信頼区間の幅が狭くなる)
 
 
  科学の営み  ――現実と概念――
 
         個々の現象              一般法則 
      現実                  概念  
      医師                 医学研究者  
       曝露の情報            発生率比
       疾病の情報                  
            ,             ,  
          ↑              ↓
         観察            理論
         記述          一般法則
               ↑              ↓        
                     
     因果関係は 右側の世界なのに、我々には 左側(原因と結果)しか見えない。
    左側の世界で観察し、右側の世界で 因果関係を推論する。
 
 
      記述統計学           推測統計学
      記述疫学             分析疫学
                           
    統計学は 科学の文法。 左右をつなぐ。
      人間が観察対象の医学では、(これは) 疫学の役目
 
 
   確率分布を想像するための 点推定値と区間推定値
    「真の発生率比は何倍当り?」を推定するのが、点推定値。
    区間推定値により、確率分布の大部分、例えば 95%をつかむ指標の幅を推定している。
 
    この分布の左端が1倍より大きければ、5%レベルで統計的有意差がある上昇。
 
   大事なのは、左側(観察)の現実世界と 右側(一般法則)の概念の世界との区別
   ( 右側の定量的一般法則は 確率分布を持つ )
 
                            (つづき)

 
 
 
 
福島県の100m㏜以下 安全・安心アナウンス 福島県のHPより) 
 ● 放射線・放射性物質Q&A(24.4.2更新)
  長崎大学大学院医歯薬学総合研究科  高村昇(福島県放射線健康リスク管理アドバイザー
 
 自然界にある放射線とは  
  このように、自然から受ける放射線(自然放射線)は 日本では 年間 約1.5 ミリシーベルトとされて
   いますが、世界平均では 約2.4 ミリシーベルトとなります。
 その一方で、世界では、環境中の放射線量が比較的高い場所が存在することが知しられています。
 例えば インド南部のケララ州の海岸に面した地域は、海中から打ち上げられる天然の放射性物質
 の影響で放射線量が比較的高いといわれています。
 この地域では 人によっては 年間10 ミリシーベルト以上は被ばくしています。単純に考がえると、ここで
 10年間生活した場合、100 ミリシーベルト 被ばくすることになります。しかし、この地域で調査をした
  結果 、住民の白血病やがんの発生率は、インドの他の地域と比較しても変わらないことが分って
  います。
 
  生まれてくる子どもに放射線影響は
     広島や長崎の原爆被爆ばく者の方のケースでは、妊娠初期に高い線量の被ばくをした場合、
 小頭症の発症例が増えたことが報告されています。しかし、実際に発症したのは200ミリグレイを
 超えるようなとても高い線量を被ばくした胎児であり、現在の県内の状況とは全く異なります。
 放射線についての国際的なガイドラインを定めた国際放射線防護
委員会(ICRP)が出だ している
 勧告には以下のようなものがあります。
 「放射線被ばくによる妊娠中絶について、胎児への100ミリグレイ未満の線量は、妊娠中絶の理由
 と考えるべきではない」            100m㏉=100m㏜(γ線・β線)
 これは 広島や長崎の原爆被ひ爆者の方の調査を基に作つくられた勧告です。
  100ミリグレイを下回る被ばくであれば、生まれてくる赤ちゃんの心配はいらないということに
 なります。事故発生から現在に至るまで、県内にお住まいのお母さんのおなかの中にいる赤ちゃん
 が 100ミリグレイを上回る被ばくをするとは考えられません。
 また、これから生まれるお子さんについて、遺伝的な影響を懸念されるかもしれませんが、広島・
 長崎の原爆被爆者の方の遺伝的影響( 二世調査 )をみても、がんや白血病をはじめ病気が増えた
 という報告はありません。まして 県内の現在の放射線量は ずっと低くく、安心して妊娠、出産をして
  いただければと思います。
 
  ・・・100m㏜の意味を教えて下さい
   
    放射線に被ばくすると健康に影響を及ぼすことがありますが、内部被ばく、外部被ばくに
  関係なく、その影 響の程度や種類は受けた放射線 の量(以下線量といいます)に依存します。
  長期的な影響として、受けた線量が高いほど 数年後から数十年後に がんになる危険性が高まる
     と考え られています。
  ・・・
    原爆被爆者 を主とした疫学調査では、およそ 100 ミリシーベルト以上の線量では、線量とともに
  がん死亡が増加することが確認されています。およそ100 ミリシーベルトまでの線量では、放射線
  とがんについての研究結果に一貫性はなく、放射線により がん死亡が増えることを示す明確な
  証拠はありません。 しかしながら 放射線防護の目的のための慎重な考え方として、年間100
  ミリシーベルトまで ゆっくりと被ばくする場合、放射線による がん死亡が 1,000 ミリシーベルトあたり
  およそ5%であるとされており、国際放射線防護委員会(ICRP)も これを妥当であるとしています。
       日本人は 元々約30%(1,000人のうち300人)が がんで亡くなっています。この国際的な推定値
  を用いると、仮に 1,000人の方が100 ミリシーベルトの線量を受けたとすると、生涯に がんで亡くなる
  方が 300人から 305人に増加すると計算できます。
  ただし、ICRPは 同時に、この仮定は 確実ではないが 起こる可能性のある障害を予防するという
  考え方であり、100 ミリシーベルト よりも ごく低い線量を合計して 集団で出るがんなどの症例数を
  計算するといった影響の評価には不確実性が大きく、適切でないと述べています。
 
      1mSv、100mSvの被ばく
   ICRP勧告では、一般公衆が1年間に計画的に受ける放射線の線量は、自然からうける
  放射線の影響を除いて、1mSvとするとされています。これは様々な研究の結果や世界中
  で人々が通常生活していて自然に受ける放射線の線量などを総合して、ICRPが公表した
  ものです。

   一方 100mSv以上の線量を受けた場合、将来がんになる確率が明確に高くなるとして
  います。したがって、この値(100mSv)を超える被曝が想定される場合は基本的に防護対策
  を考える必要があるレベルとしています。つまり、100mSvは線量が体に悪影響を及ぼす
  しきい値(これ以上受けると確実に影響が現れる線量)ではなく放射線防護対策を決める
  ための参考値です。
   「100mSv以下は健康に影響がない」という説は、放射線を受けた集団と受けていない
  集団を比較する疫学調査を元にしたものと考えられます。疫学調査では、放射線が原因で
  将来がんになるリスクは原爆での被ばくのようにごく短期間に 200mSv以上受けた際に、
  影響が統計的に確認されると報告されています。
しかし、これは200mSv以下では がんに
  なるリスクがないということを約束するものではありません。人間は生活習慣や遺伝等、
  幾つもがんになるリスクを持っています。
200mSv以下の場合は確率が小さいので、その他
  の確率に埋もれてしまってよくわからない、というのが本当です。
 
 
 
 

福島は 自ら切り捨てられようとしている

$
0
0
 
   福島県と原子力規制委員会の「定時降下物」を比べてみると、
   そこに、いろいろな事が見えてきます。
 
   1.採取場所  福島県:福島市、     規制委員会:双葉郡
     ―― 規制委員会は、人口密集地の中通りの降下物には興味がないようだ。
         何故だか 私には分らない。
         ※ 他県は、県庁所在地など人口密集地で試料を採取している。
 
   2.検出限界  福島県:4㏃/㎡前後?   
             規制委員会:他県は  10~100分の数㏃/㎡まで計っている
      ―― 規制委員会のものには、1ヶ月を積算して 検出限界が1㏃/㎡未満まで
         計っている県もあるが、福島県は 1日分の検出限界が4㏃/㎡前後である。
          このことは、福島県中通りでは 他県とは比べものにならないレベルの
         降下物が、事故以来 今日まで降っているということを意味する。
          ※ 他県は 1日当りでは NDになるが、1ヶ月分積算した数値を出している。
            福島県のは、これが なぜか発表されていないのである。
 
   3.福島県の11月分のものを見ると、検出限界 4.**㏃/㎡ とあるが、
     計上された数字は 検出限界未満の 2.73 や 3.13 がある。
      ―― 「11月30日~12月1日採取分」の検出限界しか記されていず、それが ND
         であったというのである。他の日の検出限界は 発表していない。
                     実際の降下物が どれほどのレベルなのかは、福島県は興味がないようだ
 
   4.降下物の由来 及び 呼吸による内部被曝リスクが不明
      ――  降下物は、福島第一原発からのものか、2011年3月から4月にかけて大地
          に降ったものが再浮上したものか、或は 汚染物の焼却によるものか・・・。
 
           原発からのものであれば、常時 新たに降下物が 大地に降っていること
          になり、その積算は バカにならないレベルになっている可能性がある。
          毎日放射性セシウムが 4㏃/㎡づつ降っているとすると、
          1年で 4×365=1460㏃/㎡、1000日(3年弱)で 4000㏃/㎡ である。
 
                       体重50kgの人の1日当りの呼吸量は 1万~2万リットルとされるが、
          降下物による呼気からの内部被曝は どれくらいなのだろうか?
 
    5.福島県中通りの人々は、こうしたことを 充分 承知して、
     当地は安全であり 住むに安心できる所だとされているのだろうか
      ――  行政や専門家の言う「原発 安全・安心」を信用して、この大災害にあった。 
          そして、事故後にも「放射能大したことない、安全・安心」と言う行政や専門家
          を信用して、被害住民自らが 放射能の健康影響を心配する人に  「放射脳」
          というレッテルを貼って蔑んでいる・・・。  
 
          ・フクシマは 本当に 安全であり 安心な所ですか? ちゃんと ↑のような
          ことが分かって、そう言っていますか?
          ・福島の復興とは、次世代が 健康であることなしには実現できないはずだが、
          子供たちの将来を どれほど考えて、「福島の復興」と言っていますか?
          ・東電や政府と同じように、今の大人の都合を、将来 福島or国を担う子供ら
          に押し付けていませんか?
 
 
  ⋆ 一応、県は この「定時降下物」のページに 
   「地面が乾燥している時に強い風が吹くと、塵埃が地表面から舞い上がりやすくなります。
    被曝線量の低減や一般的な塵埃の吸入量低減の観点から、土ぼこりが舞うような風の
    強い日に外出する際は、マスクの使用や帰宅後のうがいなどに心がけましょう。
   というメッセージを出してはいるが、 
   実際に 県がやっていることは、このメッセージを無視したものである。
    風の強い日、砂ぼこりの舞う中で、駅伝大会はじめ 各種行事を開いたり、或は
   マスクもなく 子供たちを登下校させ、学校の運動場では 大きな声を掛け合って 
   野球などの部活動をやり、対外試合もやらせている。  
 
                        
           
 
■福島県 定時降下物

     

 
平成23年
平成24年
平成25年
1月
(24.3.16更新)
(25.2.5更新)
2月
(24.3.16更新)
(25.3.5更新)
3月
事故後~平成23年12月27日以前の測定結果は原子力規制委員会のホームページで公表しています。
(24.4.3更新)
(25.4.3更新)
4月
(24.5.16更新)
(25.5.7更新)
5月
(24.6.6更新)
(25.6.3更新)
6月
(24.7.5更新)
(25.7.4更新)
7月
(24.8.8更新)
(25.8.7更新)
8月
(24.9.4更新)
(25.9.11更新)
9月
(24.10.3更新)
(25.10.3更新)
10月
(24.11.6更新)
(25.11.7更新)
11月
(24.12.5更新)
(25.12.6更新)
12月
12月27日~
(24.3.16更新)
(25.1.8更新)
 毎日更新している結果をご覧ください
 
  採取場所…福島県原子力センター福島支所(福島市方木田地内)
   ※福島県原子力センター福島支所の外壁補修工事に伴い、採取場所を同支所の屋上から、
    同じ敷地内の プレハブ小屋の屋根上に一時的に移設(移設期間 平成24年12月1日から
    平成25年3月31日(予定))
  測定機関…福島県原子力センター福島支所
  分析装置…ゲルマニウム半導体検出器
  測定方法…緊急時におけるガンマ線スペクトル解析法(放射能測定法マニュアル(文科省))
  ヨウ素131検出限界値=4.16MBq/km2(1月31日~2月1日採取分)
  セシウム134検出限界値=4.55MBq/km2
  セシウム137検出限界値=3.28MBq/km2(1月31日~2月1日採取分)
 
 (第402報)  平成25年2月2日 14時現在   (MBq/km2=㏃/㎡
                                        ND:検出限界値未満
                   ヨウ素131  セシウム134  セシウム137
1月1日9時~1月2日9時     ND      ND      ND
1月2日9時~1月3日9時     ND      ND      ND
1月3日9時~1月4日9時     ND      ND      ND
1月4日9時~1月5日9時     ND      ND      ND
1月5日9時~1月6日9時     ND      ND      ND
1月6日9時~1月7日9時     ND     20.5    40.0
1月7日9時~1月8日9時     ND      ND      ND
1月8日9時~1月9日9時     ND      ND      ND
1月9日9時~1月10日9時    ND      ND      ND
1月10日9時~1月11日9時    ND          4.43    8.40
1月11日9時~1月12日9時       ND           5.01    9.28
1月12日9時~1月13日9時     ND      ND      ND
1月13日9時~1月14日9時    ND      ND      ND
1月14日9時~1月15日9時    ND      ND      ND
1月15日9時~1月16日9時    ND      ND      ND
1月16日9時~1月17日9時    ND      ND      ND
1月17日9時~1月18日9時    ND      ND      ND
1月18日9時~1月19日9時        ND             ND          4.28
1月19日9時~1月20日9時    ND      ND      ND
1月20日9時~1月21日9時    ND      ND      ND
1月21日9時~1月22日9時    ND      ND      ND
1月22日9時~1月23日9時    ND      ND      ND
1月23日9時~1月24日9時    ND      ND      ND
1月24日9時~1月25日9時    ND      ND      ND
1月25日9時~1月26日9時        ND             ND           4.88
1月26日9時~1月27日9時    ND             ND           3.90
1月27日9時~1月28日9時    ND      ND      ND
1月28日9時~1月29日9時    ND      ND      ND
1月29日9時~1月30日9時    ND      ND      ND
1月30日9時~1月31日9時        ND             ND           3.93
1月31日9時~2月  1日9時    ND      ND      ND
 
 


■ 原子力規制委員会 
             定時降下物のモニタリング
 
    1. 文部科学省が各都道府県等からの報告に基づき作成
  2. 1ヶ月間採取し続けた降下物を測定した結果
  3. 検出下限値は都道府県によって異なるが、放射性ヨウ素、放射性セシウムとも、
   最も検出下限値の高いところで 約7MBq/km2となっている。

 
 環境放射能水準調査結果(月間降下物)
                (H25年1月分 [January, 2013])
                                                                        MBq/km2・月   ND : Not Detectable
秋田県(秋田市)      ND     ND      ND
山形県(山形市)      ND       0.72     1.3
福島県(双葉郡)          ND        9990   18900
茨城県(ひたちなか市)   ND        5.2      9.0
栃木県(宇都宮市)         ND        5.3      9.2
群馬県(前橋市)            ND        1.7      3.0
埼玉県(さいたま市)       ND        2.4      3.9
千葉県(市原市)            ND        1.5      2.6
東京都(新宿区)            ND        3.2      5.4
神奈川県(茅ヶ崎市)      ND        0.79     1.3
新潟県(新潟市)            ND        ND              0.076
富山県(射水市)            ND        ND               ND
石川県(金沢市)            ND        ND              0.065
福井県(福井市)            ND        ND              ND
山梨県(甲府市)            ND        ND              0.14
長野県(長野市)            ND        0.36     0.65
 
 
 
                                               

放射線健康不安~環境省・福島県(4)

$
0
0
(3)のつづき
 
放射線の健康影響に関する専門家意見交換会(第3回)
 
  ビデオ        12月21日(土)
      講演「放射線による発がん影響-甲状腺およびその他のがん-」
      国立大学法人 岡山大学環境生命科学研究科人間生態学講座 教授津田敏秀 氏
 
 
                                          1:30~
 
         埋め込み画像への固定リンク
 
   チェルノブイリでは、1986年4月末の事故から90年までの間(赤色楕円部分)は、
  事故前とは 明らかに傾向が違っている。
  福島で、このような チェルノブイリでの多発(の兆し)を感知できるのか? が問題。
 
 
 なぜ 甲状腺がんデータを分析するのか? (目的)
  1.市民が関心を持っている
   ―― 現在の分析に基づいた情報を提供する
  2.今後の甲状腺がん多発の拡がりと多発の程度を予測し把握
   ―― 症例把握の範囲の目安を付ける
  3.空間線量率 と ヨウ素131の影響を分離して推定
   ―― 現時点で議論する最も大きな理由
   ―― 避難や帰還の判断材料を提供するため
  4.生物学的モニタリング
   ―― がん症例の発生率から、被曝量を逆に推定する
   ( 当時 ヨウ素131による被曝が どの程度あったのかという推測には 大きなばらつきが
   あるが、普段は ほとんど発生しない小児甲状腺がんの発生を見ることによって、
   逆にこれを推定する )
 
 
  福島県の甲状腺検査について
     18歳以下の甲状腺がん検診
  ・ 第1次健診: 2011年時点で18歳以下の全住民
   ―― 甲状腺エコーで検診
   ―― 直径5.0mmを超える結節 もしくは直径20.0mmを超える嚢胞が
      検出された場合は 第2次検診へ
  ・ 第2次検診: 第1次検診で陽性判定を受けた者
   ―― 甲状腺エコーで経過観察し、その後 穿刺(センシ)細胞診
  ・ 穿刺細胞診でがんが検出された場合
   ―― 経過観察し、その後 手術
   ―― 摘出された甲状腺でがんが確認されれば、「確定がん症例」
 
   ・・・
 
 
   因みに、福島県の人口密度は ベラルーシ共和国ゴメリ州の約3倍。
 
 
 方法: 比較対照とデータ入力方法
  ・ 国立がん研究センター・がん対策情報センター発表
    年齢・性別の甲状腺がん発生率の推計値(1975-2008)
   ―― 日本における1975年から2008年までの15歳から19歳まで
      年間発生率の平均値(100万人に 5人
   ―― 日本における1975年から2008年までの20歳から24歳まで
      年間発生率の平均値(100万人に 11人
 
     ・多めの値を取っているので、0歳から19歳までの年間発生率
     2003年から2007年頃の平均で 100万人に 2~3人くらい
     ・どの値を与えるかは、データ量が増えてくると大きな問題ではない。
 
  ・ 福島県は、検診結果を約3か月ごとに発表している
     ・本分析は 2013年11月12日発表分データ
 
 方法: 調整と推定
 
   有病割合≒ 発生率×平均有病期間
     ※ 有病割合:甲状腺検診のデータ、 発生率:国立がんセンターのデータ
 
   ―― 本件では、「有病期間」とは 検診及び細胞診により甲状腺がんが
     検出可能になった日から 検診がなくても通常の臨床環境で甲状腺がん
     が診断できるようになる日までの期間
  ・ 感度分析のために有病期間(年)を複数仮定
  ・ 95%信頼区間の推定には ポアソン分布を用いた。
 
 
 結果1                                                    参考  ②  
    地域   18歳以下人口  1次検査    1次検査    2次検査    がん症例数
                     受診者     陽性      受診者     (手術例)    
   平成23年度   47,766    41,493             216       188                 13(11)        
   平成24年度  163,264    138,865             971                839                 44(16)       
   平成25年度    78,930         58,427             372                121                  1( 0)      
 
 結果2  (平成24年度:中通り
    地域   18歳以下人口  1次検査    1次検査    2次検査    がん症例数
                     受診者     陽性      受診者     (手術例)   
   北         53,852           50,208              302               276                12(?)
  (福島・桑折他)
  中                  20,889           17,755              104                93                 11(?)
  (二本松・本宮他)
  郡山市           65,586            53,838              458              377                 16(?)
  南                 18,980            16,723              104                91                  5(?)
  (白河・西郷他)
  中距離地域   163,264          138,865              971              839                  44(16)
 
 
  結果3(平均有病期間2年)
                    日本全国年間甲状腺がん発生率( 100万人当り )   
                          5人                      11人
                       IRR〈発生率比〉(95%信頼区間)
  平成23年度地域(近い地域)    31.33(17.58-53.80)     14.24(7.99-24.45)
  北                    23.90(13.32-41.52)     10.86(6.05-18.87)
  中                    61.95(32.42-111.6)     28.16(14.74-50.73)
  郡山                   29.72(17.83-48.02)     13.51(8.10-21.83)
  南                    29.90(11.78-70.56)     13.59(5.35-32.07)
 
    目安は 1倍より大きいこと
   95%信頼区間の下の値が 1倍より大きいと、いわゆる「統計的有意差がある」ことに
 
  結果4(平均有病期間4年)
                    日本全国年間甲状腺がん発生率( 100万人当り )   
                          5人                      11人
                       IRR〈発生率比〉(95%信頼区間)
  平成23年度地域(近い地域)    15.67( 6.79-26.90)      7.12(4.00-12.23)
  北                    11.95( 6.66-20.76)       5.43(3.03- 9.44)
  中                    30.98(10.21-55.80)     14.08(7.37-25.36)
  郡山                   14.86( 8.91-24.01)       6.75(4.05-10.91)
  南                    14.95( 5.89-35.28)       6.80(2.68-16.04)
 
 結果5
   ・ 1975~2008年の日本の15~19歳での平均年間発生率(100万に5人)と
    比較した時、平均有有病期間を 
    最も近い地域では35年、中通り・中部地域(二本松市・本宮市など)では65年
    と仮定しても、統計的有意差がなお継続した。
   ・ 1975~2008年の日本の15~24歳での平均年間発生率(100万に11人)と
    比較した時、平均有有病期間を 
    最も近い地域では16年、中通り・中部地域(二本松市・本宮市など)では29年
    と仮定しても、統計的有意差がなお継続した。
  ・ これは、観察されている著しい増加スクリーニング影響だけでは説明できない
    ことを示している。
 
 
 年齢は連続している
     各年度 14歳以下                    15歳以上 
ベラルーシ甲状腺がん(マリコ)
                   今中哲二編『チェルノブイリ事故における放射能災害』より
                             @ チェルノブイリ事故は 1986年4月
               ⋆ 欄外の「福島集団疎開裁判・矢ヶ崎克馬意見書甲104」の別紙3 参照
 
  図1(14歳以下の小児甲状腺癌)と図2(15歳以上の甲状腺癌)の縦軸(年間甲状腺癌数
 は、スケールが 図1は 10人、図2は 100人になっているため、増加率は
 14歳以下の方が 急激に見え、15歳以上が 緩やかな増加に見えるが、実際は
 大人の増加率の方が大きい。
  また、年を経るにつれて、14歳以下の子が 右図の大人の数に編入されて
 いるが、それを上回る 大人の甲状腺がんの多発が見られる。
 
  したがって、
  甲状腺癌の アウトブレイク については、18歳以下より 19歳以上をモニタリング
 すべき。 チェルノブイリの経験から、多数の症例が予測される。
 
 
 現在までの結論1
  1.福島の事故から 32カ月経って、18歳以下の甲状腺がんは増加している。
  2.中通りでは 原発からの距離(被曝量を反映)に 多発が比例する傾向を
   示している。
  ――行政区画や年齢層で区切られた範囲外に 多発が及んでいると思われる
   ので、現在の調査行政区画外 並びに年齢層外の調査が必要である。
  3.空間線量とヨウ素による被曝の分離は、まだ明確ではないが、空間線量率
   の増加による被曝が続いている現在、できるだけ早く判断する必要がある。
 
 
 スクリーニング効果
 
          2013年3月11日、山下俊一氏によるアメリカでの講演スライド
           
                        山下俊一の英語基調講演の完全書き起こし、及び和訳http://t.co/z5BJrECvqR
 
           (林医師、津田氏改変) 
             埋め込み画像への固定リンク 
 
   通常のがん発症(青色棒線)が、スクリーニング検査(青色点線)で 先取りして
  がんが見つかっているのを、スクリーニング効果(Screening effect)という。
   これは、一生に出てくるがんの種が すべて、18歳以下の段階で仕込まれて
  いるという 非常にムリな仮説に基づいている。
 
     @ 平成23年度対象地域: 1次調査受診者数 41,493人中 13人が甲状腺がん
                      2次調査受診率:87%
                            (平成25年9月30日現在  ②  
        ――→ 10万人あたり ??
                 13×100,000÷(41,493×0.87)=36.0 
 
 
 
 
 
 
     
 
 
      
 
 
 
 
                            (未完成)
 

 
 福島集団疎開裁判・矢ヶ崎克馬意見書甲104
          (「ベラルーシの青年・大人の甲状腺ガン」を収載)
         http://1am.sakura.ne.jp/Nuclear/kou104Yagasaki-opinion4.pdf
 
                               医問研ニュース 2013年11月7日
    チェルノブイリ事故後、多数の甲状腺がんが発見されたのは、第一に スクリーニンが実施
   されたためによるものだとされた」「実際、チェルノブイリ事故後、甲状腺エコーと針生検によって、
   予期できないほどの多数のがんが発見された」「これらの発見についての一つの見解として、
   もっと年齢が大きくなって診断されるはずのものが、早く発見されたのだろうというものだった。
    しかし、同じ地域で事故後に生まれた同年代の子どもの、その後のスクリーニングでは がん
   が発見されなかったことにより、その主張が否定された、とする論文がある。これは、1990年代
   前半に主張された、いわば 「スクリーニング効果説」 を否定した文章である。
   この論文の著者の一人が 山下俊一氏である。ところが、なんと同じ主張が 当の山下氏を筆頭
   に 日本の「専門家」達によって表明されている。・・・ 
    山下氏は講演で、世界にむけて発表していた自身の意見を翻し、福島で見つかった高い頻度
   のがんは0-20年後に発症してくるがんを、早期に見つけたものにすぎないとしている。・・・
 
 
                                                                           東京 2013年12月31日
   国際原子力機関(IAEA)と 福島、福井両県が結んだ相互協力の覚書に、IAEAか県か一方
  が要求すれば、共有している情報を非公開にできる条項が含まれていることが分かった。
  この条項については、県議会でも問題視されず、「特定秘密保護法の先取りにつながるのでは」
  という批判の声もある。
   IAEAとの覚書は、福島県が 昨年十二月、福井県が 今年十月に それぞれ交わした
  福島県では、除染や放射性廃棄物の管理については 県、放射線による健康影響調査について
  は県立医科大が IAEAと締結した。
  覚書の詳細として 「実施取り決め」文書があり、文書には 「 他方の当事者によって 秘密として
  指定された情報の秘密性を確保する」と記された条項が含まれていた。
  福井県でも 原子力分野の人材育成に関して IAEAと協力を結んだが、その覚書にも秘密指定
  の文言があった。
   両県とも、現段階で 秘密指定された情報はないとしているが、事故情報や測定データ、子ども
  の甲状腺がんなどについて、県側か IAEAが「住民の不安をあおる」などとして秘密指定すれば、
  その情報は公開されない恐れがある。
 
   覚書の調整を担った外務省の担当者は 取材に「 国際的な交渉ごとなので、日本とIAEAの
  どちらが秘密指定条項を求めたかは言えない」としている。
  ただ、両県の関係者によると、IAEAには 各国の行政機関と覚書を交わす際、秘密指定の文言
  を盛り込む規則があるという。
  IAEAは チェルノブイリ原発事故で「 被曝による健康の変調はなかった 」との報告書をまとめている。
   福島原発告訴団の武藤類子団長は「 IAEAは チェルノブイリの健康影響について情報隠しをした
  前例がある。福島も二の舞いになるのでは 」と懸念している。
 
 
 
 
 
 

(新春対談) 国民は何を知ったのか、知らないのか①

$
0
0

(新春対談) 国民は何を知ったのか、知らないのか

                                                                  : 2014年1月 1日
 
第一部2.jpg    
 
トップ1日.jpg
 
 
対談:
村田光平さん(元駐スイス大使)、川内博史さん(前衆議院議員)
司会:高橋仁也(KAZE to HIKARI)以下、敬称略
                          

■そもそも、なぜ原発に反対なのか

 
高橋
新年、明けましておめでとうございます。3.11からすでに1000日が過ぎ、あまりに
多くのことがありました。ともすると、私たちはその細部に追われて、なぜ原発に
反対するのか その原点すら忘れそうです。
新年を迎えるにあたり、今日は お二人にあらためて、なぜ 反対することを決意
されたのか、お伺いします。はじめに、外務省にお勤めされ国連局審議官、
駐セネガル大使、衆議院渉外部長、そして駐スイス大使として、日本の外交で
大変ご活躍されてきた、村田光平さんからお願いします。
 
村田
明けましておめでとうございます。実は 私は早くから原発に反対しています。
1999年に外務省を退職した後に、浜岡原発の全国署名運動の先駆けとなる
有識者声明に参加しました。当時、スリーマイル事故以来、二十数年にわたって
諸外国は原発を製造することをやめていました。ところが 日本だけは それから
22基も作っているという異常な状況に、危険性の認識について 日本は世界から
ずれていると思ったのです。
 
高橋
東電関係者以外では 初めて福島第一原発の一号機に、被曝覚悟で建屋内部
入られ、原発爆発の原因は地震ではないかと示唆された、前衆議院議員、川内
博史さんは どうですか。
 
川内
明けましておめでとうございます。しかし、そう口にしながらも 私は胸が痛みます。
それは いまだに14万人もの福島県の人たちが避難先でこのお正月を迎えざるを
得ない、さらに 放射能の影響としか思えないような甲状腺がんが、子どもたちに
多数出てきているからです。それにもかかわらず、原発を動かす、新設するなど
はあり得ないことです。
       参考:避難者調査
       福島県内90,384人(昨年12.12現在)、福島県外49,554人(昨年11.14現在)
 
高橋
福島県は、震災当時「直接死」で亡くなられた方を 1,603人とし、その後避難先など
の「関連死」で亡くなった方を 1,604人と発表(昨年12月19日)しています。
「関連死」は 驚くべき数値で、津波や地震で亡くなった方をわずかながらも超えて
しまいました。この内訳を丁寧に分析されるべきだと考えています。
さて、私たちは 経済成長のために電力を必要とし、科学を信じて原発を容認して
きた歴史があります。今回の事故は とても古いタイプの原発なので仕方なかった、
さらに改良したものがあるし、あるいは もっと優れたものを開発すべきだという
意見があります。こうした近代主義からの科学論については どう思いますか。
 
川内
あの事故は 「古いタイプの原発だから事故が起きた」 と言うのであれば、事故原因
を明らかにしてくださいと言いたい。原因を曖昧にしながら、古いタイプが原因
だ、というのは理屈が成り立っていないのです。
推進派の人たちは 大変頭がいいのでしょうか、彼らの作る分厚い資料は、「○○
だと・思・う」というような責任回避が いつでもできるような表現が使われ、事実関係
を断定する表現は 一切ありません。ですから 彼らは、同じように新しい原発でも、
安全など決して断定などしないのです。ところが、どんな原発であろうが、放射能
自体はそもそも無害化できないのです。
 
村田
その通りだと思います。ドイツを代表する学術研究機関,マックス・プランク原子力研究所
の元所長の ハンス = ペーター・デュール 博士は、「人間社会が受容できない危険を持つ
科学技術は、事故の可能性が 完全にゼロでなければ 忘れ去るべきである」
言っています。放射能被害をもたらす原発は これに当てはまります。ですから、
そもそも原発の 「安全性を高める」 などと言う議論自体、初めから意味をなさない
のです。福島の事故は、そのことを立証しました。人間社会が受け入れがたい
原発事故は 放射能を放出する、それは 一人の人間のすべてを奪い去るもの
である なぜ、人類は原子力から決別しないのか、それは真の指導者がいない
からです。知性だけではダメです、感性と思いやりが 新しい指導者には求められ
ます。
 

■安全保障と原発

 
高橋
安倍政権が唱える 「積極的平和主義」 では、集団的自衛権の行使を重視して
います。軍事同盟国アメリカと より連携を強めて安全保障を高める、ということが
その目的だとしています。 しかし それ以前に、原発は攻撃される対象として とても
危険な気がしますが、その点についてはどうでしょうか。
 
村田
私は、原発は 日本の安全保障上の重要な問題だと、3.11以前から指摘して
きました。そして、福島の事故は、それを立証したと思います。いかなる核兵器
よりも恐ろしい、超巨大核兵器そのものであるということです。そうではあれば、
4号機問題(大量の使用済核燃料が不安定な状態に置かれている)は、もっとも窮迫した
世界の安全保障問題であるわけです。にもかかわらず、従来型の安全保障論
をやっているのは不可解です。
 
川内
原発の安全保障における脆弱性というのは 決定的なものです。政治の分野では、
これについては 誰も言わない。なぜなら、テロや軍事行動からその脆弱性を
回避する方法が 全くないからです。この議論を始めると、原発がそこにあること
が、そもそも 不都合な事実になってしまいます。今回の原子力規制委員会による
「新安全基準」には、そうしたものはまったくありません。
 
村田
今回の「新安全基準」では、敷地外のことについては 全く触れていません。敷地
の外には 送受電網が膨大にあります。この中には、原発停止時の電力の受電
ラインも含まれ、テロがこれを攻撃したならば、原発は たちまち外部電源を失い
メルトダウンにつながります。そうかと言って、それらを防衛する範囲は あまりに広大
になります。 川内さんが おっしゃる通り、これに対処すべき方法はないのです。
 
高橋
原子力規制委員会のWebページには、委員長が報道関係者と会話する議事録が
全部残っているのですが、それを見ると、委員長は 私のできることは 全部やって
いる と言わんばかりです。「 東日本の津波が来たら健全性は保てるかと言われる
と、よく分からない。そういうことがないように願っていますけれども、余り難しいこと
を聞かないでください。朝から疲れています」(昨年10月30日、記者会見)と、かなり
お疲れのようです。これ以上は 勘弁してほしい、という感じですね。
 
村田
敷地内のことでも、彼らが 十分な役割を果たしているとは思えません。安全が
保証されていない中で、大飯原発を稼働させる規制委員会は、完全に その威信は
失墜しましたね。
 
高橋
集団自衛権の観点から、アメリカは 日本をどう見ていると思いますか。
 
村田
アメリカは、福島事故で脆弱性を露呈した原発を100基以上も抱えた現状に 震え
上がっていると思っています。簡単には 戦争などできない。本当に戦争などをして
しまったら、その反撃で テロによって攻撃されることは現実的脅威です。日本も
同様に脆弱ですが、団的自衛権により 日本が アメリカと行動を共にして 戦争
などに巻き込まれたら、テロ対象国となり、簡単にやられてしまいます。
これだけ脆弱ならば、その防衛ができない。しかも、あふれ出る放射能のリスク
は 日本にとどまらない。このことが、3.11で世界的に周知されたわけです。
集団的自衛権については、この一点をもって 私は反対ですね。
 
川内
その論点は、国民の皆さんに きちんと理解してほしいですね。アメリカは先制的
自衛権(防衛のために先制攻撃する権利)を行使すると言い放ち、中東などで 実際
に これを行使してきた国です。ですから、日本が集団的自衛権で一緒に行動
すると、日本が反撃されるわけです。
 
高橋
北朝鮮や中国に限定した安全保障に限らず、地球の裏側まで行動を共にすると、
9.11のようなことが、日本の原発で起きる可能性があるわけですね。
 
川内
ドラマ『半沢直樹』ではないですが、100倍返しされるわけです。参ります。(一同、笑
 
 

■使用済み核燃料の問題

 
高橋
原子炉
核燃料は、使用・前・核燃料よりも 使用・済・核燃料こそが 放射能そのもの
となります。人間が近づくと 10秒程度で死に至るという放射線量を放ちます。
私は 東電と直接電話で話したところ、「1時間あたり、数千シーベルト・以・上
なる」と回答がありました。「以上」と言ったのは、単位が 千ではなく 万になること
もあるかと問うと、「あります」と はっきり答えたのです。現在、全国に 17,000トン
以上あります。使用済核燃料は 原発そのものの問題から ある意味独立していて、
原発に反対しようが賛成しようが、あるいは原発がなくなったとしても、避けて通れ
ない 巨大な問題として存在し続けます。1000年経った遺跡は 立派なものですが、
これは 10万年経っても、放射能を放つ悪魔の遺跡として 地球上に大量に残る
わけです。私は、目の前にある事故収束も 当面 極めて大事ですが、これは
より大きな問題だと考えています。
 
川内
最終処分方法は 誰にも分からないのです。推進派も、将来何とかします、という
状態です。それが分かっていながら、なぜ、また再稼働するのかを、どうしても
最初に言いたいです。
 
村田
4号機問題で、使用済核燃料が注目されてきました。これを うまく取り出したところ
で、また、大型共同プールに移すのでは 安全ではありません。費用の制約から
それができない。本来、直接乾式キャスクに移すべきなのに、ここに『事故処理の
国策化』がなされていないことの問題が象徴されております。
 
  参考:乾式キャスク(dry cask)
   使用済み核燃料をプールに貯蔵するよりは、冷却水の電源喪失でメルトダウンを起こさない
   ため、優れた貯蔵方法と言われる。内部では不活性気体でおおわれる。ただし、プールと
   比べてコストが高い。
 
高橋
日本学術会議は、「暫定保管」という モラトリアム期間の設定を提唱しています。
これは、いきなり最終処分に向かうのではなく、問題の適切な対処方策確立の
ために、数十年から数百年程度は、いったん乾式キャスクなどに貯蔵しようという
ものです。この期間を利用して、容器の耐久性の向上や放射性廃棄物に含まれる
長寿命核種の半減期の短縮技術(
核変換技術)などの科学技術発展に期待したい
ようです。
 
参考:日本学術会議
「高レベル放射性廃棄物の処分について」
 
川内
暫定的ではあるが、今、考えうる、もっとも安全な措置を、きちんと国策として行う
べきですね。それが、乾式キャスクなら、それをやるべきです。ただし、このような
対応をするには、東京電力の体制・経営の問題をどうするのか、国として答えを
出す必要があります。崩壊した極めて危険な福島原発を、「発電所だから」と
いう理由だけで一民間企業に任せるのではなく、国が管理すべきなのです。
そして、実態は すでに破綻している東電を、きちんと処理して、その後の体制を
作り国策とすべきです。使用済核燃料の問題も、その延長で国策として初めて
考えることができます。
 
 
 
   
プロフィール村田氏②.jpg
【村田光平氏 プロフィール】
                       
 
1938年東京生まれ
 
 
1961年東京大学法学部卒業、二年間外務省研修生としてフランスに留学。
その後、分析課長、中近東第一課長、宮内庁御用掛、在アルジェリア公使、在仏公使、国連局審議官、公正取引委員会官房審議官、在セネガル大使、衆議院渉外部長などを歴任。
 
1996年―1999年、在スイス大使。2000年―2002年 京セラ顧問、稲盛財団評議員。1999年―2011年
東海学園大学教授。現在、地球システム・倫理学会常任理事、日本ナショナルトラスト顧問、東海学園
大学名誉教授など。
 
オフィシャルサイト:http://kurionet.web.fc2.com/murata.html
 
 
 
プロフィール川内氏.jpg【川内博史氏 プロフィール】
                       
 
1961年鹿児島市生まれ
 
1986年早稲田大学政治経済学部卒業、大和銀行入行。1988年クロス・ヘッド株式会社
取締役就任。その後、衆議院議員5回当選。
 
2011年9月、衆議院政治倫理審査会長に就任するも、同年12月の衆議院本会議で原子力協定に反対
し辞任。2012年、衆議院本会議における社会保障・税一体改革関連法案の採決では、反対票を投じた。
6月30日の鹿児島県連常任幹事会で「信念を持って反対票を投じたが、党の大勢とは違う行動だった」
として県連代表を辞任。
 
オフィシャルサイト:http://www.kawauchi-hiros
 
 
 

(新春対談) 国民は何を知ったのか、知らないのか②

$
0
0
①...のつづき
 
第二部.jpg
 
 

■小説『原発ホワイトアウト』

 
高橋
『原発ホワイトアウト』 という小説が話題になっています。現職の官僚によって多数
事実をつなぎ合わせて書かれたという この本には、東電が破綻処理できない背景 
として、総括原価方式で貯めたお金,毎年800億円を政治家やマスコミにばら撒いて、
東電の意向に沿うように誘導していると書いてあります。
その中で、長崎の落選国会議員を訪ねて、生活が大変でしょうから○○大学の
講師をやっていただけませんか、と誘惑する逸話がありました。これは、驚くべき
長期的な布陣の引き方です。安定した収入が 将来も しっかりと約束されている
から、短期的な視点に立たないということでしょう。ところで、鹿児島の川内さんの
ところにも訪ねて来ましたか。
 
川内
いや、いや、ないですよ。僕のところには、さすがに来ないでしょう (一同爆笑)。
 
高橋
小説の話に過ぎませんが、あのようなことは、実際はありうるのでしょうか。
 
川内
私は、そういう事例は直接訊いたことはないですね。たぶん、水面下で行われる
ことでしょうから。 ただし、総括原価方式は 情報公開も迫られることもないので、
そうしたロビー活動などにも使われているのは、想像に難(カタ)くないでしょうね。
 
高橋
省庁は違いますが、元官僚でいらっしゃる村田さんにうかがいます。あの本の中
で 「神は細部に宿る」 という文言があって、長く複雑な法律の中に ともすると
見逃しそうな 『細部』にこそ、運用する官僚側が自由にできる裁量があると言って
いますが、どう思われますか。
 
村田
そうだと思いますね。著者は 現職の官僚ですから、自分の省庁を救うために、
或は 日本を守るために、本当のことを語る「炭鉱のカナリア」になって、そのことを
伝えています。この本は、今、
どんどん読まれています。この影響は、国内はもちろん
のこと、国外にも影響を及ぼすと思われますね。
そもそも、小説の中そうしたロビー活動をしているという『日本電力連盟』
電気事業連合会のこととみられる)が、法人格を持たず任意団体で どこの監督も
受けない現状を早急に是正する必要があることが同書で強調されております。
 
高橋
心ある官僚の方と言うのは、まだ、まだ、いらっしゃいますか。
 
村田
もちろんです。もともと志をもって官僚になったわけです。経産省の元官僚である
古賀茂明さんを尊敬している現職者もかなりいると思います。あの本が、出版に
至ったということは、それだけでも かなり そうした素地ができてきているのだ
と思います。
 
高橋
川内さん、東電の破綻処理について、どこかの政治母体から はっきりとした政策
として、今後出てくる可能性はありますか。
 
川内
まだ、政治家も官僚も、個人的な段階かもしれませんね。なかなか、一筋縄でいか
ないかもしれません。ただし、少なくとも私の所属している政党(民主党)から、
そうした主張が 組織的に出てこなければいけないと思っています。
 
 

■小泉元首相の発言

 
高橋
安倍政権が再稼働の準備を進める中、小泉元首相が即時脱原発をめざすべきだ
と安倍首相に はっきりと提言しました。このことは 大きなニュースにもなり、脱原発派
を勇気づけるものでした。
ところで、アメリカのエネルギービジネスは 現在、原発のパテント(特許)による
利益構造と、シェールガスによる新しい利益構造が衝突、或は 過渡的な交錯を
しています。私は、こうした経済の競争関係が背景にあるのでは と気になって
います。
 
川内
そもそも、小泉純一郎さんのお師匠さんである新自由主義派の経済学者、加藤寛
さんは脱原発を提唱していらっしゃいます。この方は、電電公社も国鉄も、解体・
分離して それぞれやればいいのだという民営化論者で、地域独占の電力会社も
自由化・本来の民営化を行うべきだとして、発送電分離と脱原発を主張されて
います。そうした意味では、新自由主義的な文脈で小泉さんは脱原発を仰って
いると思います。
それと、「今すぐ脱原発」という部分については 賛同しますが、一方で「最終処分場
もないのに」 という言葉は、最終処分場があればいいのですか、ということになる。
ここは、少し気をつけていた方がいいのか と思います。しかし、社民党の福島瑞穂
さんが小泉さんと対談して、それぞれの立場で頑張りましょう、と仰ったわけです。
 
高橋
結論が同じであれば、尊重するということですね。村田さんは いかがですか。
 
村田
私は 2004年に、当時の小泉首相と各党党首 或は オピニオンリーダーに、日本の
命運を左右するのは電力会社であるという警告を発しています。小泉元首相には
首相在職中を含め15年余にわたり発信を続けて参りました。私のこうした活動は
完全に無駄ではなかった、と喜んでいます。原発をやめなければいけない、
という小泉氏の判断は真摯なものだと確信しています。こうした結論には 感性
が必要だと思います。余分な知性で あれこれ できない理由を述べるのではなく、
これは駄目なんだ、という感性が大事です。議論などは いらないのです。
 

 ■オリンピックと放射能

高橋
村田さんは、オリンピックを日本で開催することについて、当初から 大変 問題視
されて、積極的な発言されていますね。
 
村田
多くの選手を迎えるにあたって、放射能は 非常に重要な問題です。 4号機問題
という世界の安全保障を脅かす状況を抱えながら、誘致するなど無責任で不道徳
であると 当初から強く反対してきました。
ですが 私はプラス思考ですから、決まった以上、事故処理を シッカリと国策化して、
全面的に最大限の努力をするしかないという立場をとっています。 ところが、この
立場をますます強調しなければいけなくなったのは 東京都知事の問題です。
国際的に見て とんでもないイメージの失墜です。これを乗り越えるため早急に
事故処理国策化全力投球取組まなければ、東京オリンピックあり得ない
と思っています。
 
高橋
村田さんの,早急に国策化しなければならないというお立場とは裏腹に、このイベント
が国民に嫌なことを忘れさせる機能として働くと、むしろ、国策化が遠のいていく
ように思いますが、川内さんは どのように考えますか。
 
川内
思いは 村田さんと同じです。福島第一原発の解決なくして、オリンピックはないという
ことです。 オリンピックを政治的に利用して、国民に忘れさせようとするようなことは、
これまでも、これからも たくさんあると思いますが、オリンピックを本当にやるので
あれば、事故処理の国策化は不可避だと思います。
 
 

■子ども・被災者支援法 

高橋
オリンピック招致の時期と重なる頃、『子ども・被災者支援法』の具体的な中身で
ある「基本方針」が、ほとんど議論されないまま政府によって決められました。
今回の「基本方針」の実態は、満場一致で可決された支援法の精神とは、すっかり
かけ離れたものとなりました。これを どのように解釈し、今後、私たちは子どもたち
のために、どのような運動を継続しなければなりませんか。
 
川内
話し込む川内さんと村田さん.jpg
『子ども・被災者支援法』を2012年に作るとき、私は与党のワーキンググループの座長を務めていました。その骨子は、移住をしたいという方には その
支援をしましょう、また、将来 放射能
の影響で 癌が出てきたときに、因果
関係を自分で証明することはできないので 医療費については 国が全部
負担する、というものです。
これを具体的にやるために 政府は「基本方針」を作る、と支援法に書いてあります。今回、その支援法の
通りに自民党政権は、ぜんぜん やっていない、というのが今の問題です。
この状況を変えていくには、内閣を変えるしかないと思います。
  
高橋
確かに 政権が変わらなければ、何も変わらないというのが真実です。しかし 国に
期待できない その間、市民として、大人として、何もできないということにならない。
チェルノブイリ は 繰り返せないわけです。 村田さん、世界には 子どもを守っていこう
という文脈があります。こうした放射能と日本の子どもたちという問題に、世界の
良心は どのようなまなざしを向けているのでしょうか。
 
村田
世界も 日本の子供たちを心配して好意的な動きがあります。たとえば、ヘレン・
カルディコット財団の理事長は 何度も日本に来て、子供たちを集団移住させなければ
いけないと言っています。他にも、スイスやハワイに 子供たちを
しばらく保養させる
というプロジェクトもあります。関係者から 数日前にメールが入りまして、アメリカ
のサンディエゴの辺りで、米軍の 「トモダチ作戦」で被害を受けた人たちが 7万人
いるとありました。その内、100人が原告となって訴訟しているようです。
 
高橋
あの短期間の間に、米軍が 7万人も被害を受けたというのならば、日本の被害は
計り知れないですね。
 
村田
 ヨウ素剤も飲まず 甲板で作業をしていた兵士は、風の流れで放射性プルーム
やられたなどという主張のようです。
その人たちのカルテも処分されている とメールには書いてありました。
 
高橋
米軍は アリゾナの原爆実験の時から、兵士に多大な放射能被害を出し、それを
すべて隠蔽してきましたからね。これは、相当な被害が出るのでしょうか。
  
川内
それは、出ると思いますね。福島県民健康調査で すでに 26名の甲状腺癌の子供
たち、32名の強い疑いの子どもが発表されています。疫学的(統計的には)には、
通常の環境では 100万人に数名の子供が甲状腺癌になる可能性があると言われ
ています。ですから、この数値は驚くべきものです。
チェルノブイリの経験(
5年後くらいから顕在化)では、この数値はこれからさらに増える
でしょうし、甲状腺に限らず 様々な健康被害が現れてくるでしょう。しかし、水俣病
と同じように、政府も加害企業も、どうにも逃げられなくなるまで、この異常な事態
放射能との相関性因果関係を絶対に認めないでしょう。これは、国にとって
不幸なことです。
 
高橋
まさしく、自民党も満場一致で賛成した『子ども・被災者支援法』に決められている
将来に放射能の影響で癌が出てきたときに、因果関係を自分で証明することは
できないので医療費については国が全部負担する、ということと、まったく逆行した
流れになっています。
 

千葉~柑橘類の汚染レベル

$
0
0
 
                                  流山市-Yahoo!地図
              富津市・袖ヶ浦市・鴨川市の周辺地図
              八千代市・酒々井町の周辺地図
 
      は 1万㏃/㎡以下、濃い蜜柑色は 1~3万㏃/㎡ の土壌汚染
     の地であるが、下のように 柑橘類は それなりの汚染である。
 
      
 
 
 
  「検出せず」とは、検出限界値未満であることを示す。 括弧内の数字は検出限界値。
  検出限界値については、セシウム134と137の検出限界値の和が基準値の1/5(一般食品
  の場合20㏃/kg)以下とする。
   (平成24年3月15日付け食安発0315第4号厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知)
 

はっさく (平成25年)          ㏃/kg
 
栽培地     品目    栽培状況 採取日    セシウム134  セシウム137      計
 
一宮町
甘夏
露地
3月5日
検出せず
(4.4未満)
検出せず
(4.7未満)
検出せず
 
長生村
甘夏
露地
3月5日
検出せず
(4.3未満)
10.1
10
 
長柄町
甘夏
露地
3月4日
3.84
5.08
8.9
 
甘夏
露地
3月4日
検出せず
(4.9未満)
10.6
11
 
甘夏
露地
3月4日
検出せず
(5.0未満)
検出せず
(4.8未満)
検出せず
 
はっさく
露地
3月4日
検出せず
(3.0未満)
検出せず
(4.6未満)
検出せず
 
長南町
甘夏
露地
3月5日
6.59
12.1
19
 
はっさく
露地
3月5日
検出せず
(4.0未満)
検出せず
(4.7未満)
検出せず
 
勝浦市
甘夏
露地
3月5日
4.03
5.16
9.2
 
甘夏
露地
3月5日
検出せず
(4.4未満)
4.41
4.4
 
はっさく
露地
3月5日
検出せず
(4.7未満)
検出せず
(4.9未満)
検出せず
 
いすみ
夏みかん
露地
3月4日
検出せず
(4.1未満)
検出せず
(3.9未満)
検出せず
 
甘夏
露地
3月4日
検出せず
(3.5未満)
6.36
6.4
 
はっさく
露地
3月4日
検出せず
(3.7未満)
10.1
10
 
大多喜
夏みかん
露地
3月5日
検出せず
(4.1未満)
4.43
4.4

 
松戸市
夏みかん
露地
3月18日
15.3
19.5
35
 
甘夏
露地
3月18日
16.5
32.1
49
 
流山市
夏みかん
露地
3月18日
20.3
46.9
67
 
夏みかん
露地
3月18日
10.5
27.8
38
 
夏みかん
露地
3月18日
8.89
14.4
23
 
はっさく
露地
3月18日
24.5
44.2
69
 
多古町
さつまいも
露地
3月18日
検出せず
(2.6未満)
検出せず
(2.5未満)
検出せず
 
やまといも
露地
3月18日
検出せず
(2.2未満)
検出せず
(1.8未満)
検出せず
 
 
 
千葉市
甘夏
露地
2月13日
検出せず
(4.5未満)
検出せず
(4.9未満)
検出せず
 
夏みかん
露地
2月13日
検出せず
(4.4未満)
検出せず
(3.3未満)
検出せず
 
印西市
甘夏
露地
2月12日
検出せず
(3.2未満)
5.03
5.0
 
はっさく
露地
2月12日
検出せず
(3.6未満)
5.00
5.0
 
白井市
夏みかん
露地
2月12日
14.2
22.5
37
 
酒々井町
はっさく
露地
2月12日
検出せず
(3.5未満)
7.99
8.0
 
大網白里市
葉たまねぎ
露地
2月12日
検出せず
(2.7未満)
検出せず
(1.8未満)
検出せず
 
一宮町
トマト
ハウス
2月12日
検出せず
(1.4未満)
検出せず
(1.0未満)
検出せず
 
睦沢町
こまつな
パイプハウス
2月12日
検出せず
(2.4未満)
検出せず
(2.9未満)
検出せず
 
南房総市
セルリー
ハウス
2月12日
検出せず
(2.5未満)
検出せず
(2.5未満)
検出せず
 
 
平成25年3月21日 
 
市原市
だいこん
露地
2月5日
検出せず
(2.2未満)
検出せず
(2.4未満)
検出せず
 
八千代市
夏みかん
露地
2月5日
10.7
18.1
29
 
四街道市
かぶ
露地
2月5日
検出せず
(1.9未満)
検出せず
(1.8未満)
検出せず
 
香取市
みつば
ハウス
・水耕
2月5日
検出せず
(3.8未満)
検出せず
(3.0未満)
検出せず
 
勝浦市
かぶ
露地
2月5日
検出せず
(3.0未満)
検出せず
(2.1未満)
検出せず
 
鴨川市
はっさく
露地
2月4日
検出せず
(4.2未満)
検出せず
(4.9未満)
検出せず
 
富津市
はっさく
露地
2月5日
検出せず
(4.8未満)
5.72
5.7
 
袖ケ浦市
はっさく
露地
2月5日
検出せず
(4.7未満)
検出せず
(4.4未満)
検出せず
 
 
 ゆず      
 
八千代市
温州みかん
露地
11月12日
検出せず
(7.1未満)
検出せず
(7.3未満)
検出せず
 
市川市
ブロッコリー
露地
11月12日
検出せず
(3.9未満)
検出せず
(7.4未満)
検出せず
 
船橋市
ゆず
露地
11月12日
検出せず
(5.7未満)
検出せず
(6.8未満)
検出せず
 
ゆず
露地
11月12日
検出せず
(7.7未満)
検出せず
(7.8未満)
検出せず
 
ゆず
露地
11月12日
検出せず
(8.2未満)
16.3
16
 
はっさく
露地
11月12日
検出せず
(7.7未満)
検出せず
(7.8未満)
検出せず
 
柏市
ゆず
露地
11月12日
検出せず
(7.0未満)
8.69
8.7
 
ゆず
露地
11月12日
検出せず
(6.2未満)
検出せず
(8.8未満)
検出せず
 
ゆず
露地
11月12日
検出せず
(6.4未満)
検出せず
(9.8未満)
検出せず
 
流山市
しゅんぎく
露地
11月12日
検出せず
(5.1未満)
検出せず
(4.7未満)
検出せず
 
温州みかん
露地
11月12日
検出せず
(8.3未満)
検出せず
(9.8未満)
検出せず
 
我孫子市
ゆず
露地
11月12日
検出せず
(8.4未満)
17.4
17
 
ゆず
露地
11月12日
検出せず
(7.2未満)
12.5
13
 
ゆず
露地
11月12日
検出せず
(6.1未満)
7.30
7.3
 
佐倉市
葉ねぎ
ハウス・水耕
11月12日
検出せず
(4.8未満)
検出せず
(6.2未満)
検出せず
 
八街市
ゆず
露地
11月12日
検出せず
(8.7未満)
検出せず
(7.4未満)
検出せず
 
 
 
                           

(新春対談) 国民は何を知ったのか、知らないのか③

$
0
0
②...のつづき
 
三部.jpg
対談:
村田光平さん(元駐スイス大使)、川内博史さん(前衆議院議員)
司会:高橋仁也(KAZE to HIKARI)以下、敬称略
 

■忘れる、忘れさせる

 
高橋
事故当初は 東京でも、何を食べたらいいのか、どこで外食したらいいのか、特に
子供を持つお母さんたちは とても心配していました。しかし 1000日過ぎて、どうも
食料に対する放射能意識が少し薄れている気がします。 だけど、汚染水は 大量
に どんどん垂れ流されていて、魚は 特に心配です。食料は 特定地域の問題では
なく、全国の問題です。 ただ、そうは言っても、幸せを感じるためには 嫌なことは
忘れたいという人情も分かります。今日は お正月で、家族みんなでおいしいもの
を食べていると思います。
 
村田村田さん3-1.jpg
心配ですね。私はオリンピック問題でも、
実は 国際的に この事故のことを忘れさせ
ようという大きな戦略があるのではないか
思っています。 しかし、福島のことを忘れさせることができるとしても、地球的規模に
拡大しつつある海洋放射能汚染は隠せず
、世界は目覚めつつあります。
事故を矮小化させようとする、放射能の
恐ろしさを矮小化させようとする動きがある
ことは否定できません。
 
高橋
問題を小さく見せようとする矮小化作業の
一方で、被害は 逆にどんどん顕在化します。
 
村田
私は、この状況をある段階で是正しないと、日本国民の将来は嘆かわしいものに
なると思います。そして、あと数年で 目を覆うような被害が表面化しだすと、
電力会社と一蓮托生でやっている政治家にとり、致命傷になると思います。世論
は激変するでしょう。
 
川内
矮小化の一番 ターゲットになるのは、福島そのものですね。住民は いつでも ニコニコ
していれば 放射能に対して免疫力が保てる、そして 福島のことを大事にしない人
は 風評加害者だ、絆を大事にしない奴らなんだ と批判して、福島の市民を抑え
込んでいるのです。10月に IAEA国際原子力機関)の調査団が来て、日本は立派に
除染をやっていると褒めあげて帰りました。じゃあ、なぜ原発の敷地に入らない
のですか。そこの土を 少しでも サンプリングすれば、もしかしたら、事故は水素爆発
ではなく 水蒸気爆発だったかもしれない、或は それを超えて即発臨界爆発(燃料
のみで臨界して爆発に至る)が起きていたかもしれない。
そうではあれば、チェルノブイリどころではないとてつもない事故となります。そうした、
基本的な調査すらせずに、福島を抑え込んでいるのです。
 
村田
世界各国政府IAEA加盟しており、原発容認なのです。IAEAは電力会社
と密接な関係にあることは周知の事実です。したがって日本に対する助言もこう
した立場から行われています。これは悲しいかな、世界の実態です。
しかし、この事故は すでに電力会社の経営危機ではない、国家の危機なんだ、
という認識が徐々に広がりつつあります。それは、監督官庁の中でも 同じように
浸透しつつあります。私は 経産省の事故対策に責任ある課長と メール交換ができる
ようになりました。あらゆる立場を超えて、国家の危機に対応すべき段階に来て
いるのです。
 
川内
心ある見識者や リーダーが原発の問題を しっかり把握・理解して、脱原発をはっきり
と表明しています。ところが、その一方で、国民は そのことを忘れ 「させられ」 よう
としています。原子力ムラは、その忘れさせようとする流れに乗っかっているの
です。しかし、こうした 国家的危機の時、彼らが相手にすべきは私たちなのです。
はっきりと反対する私たちと、きちんと議論するべきなのです。
  

■脱原発の他律的トレンドはあるか

高橋
脱原発を運動として 市民、見識者、政治家が進めていく必要があることは既定
路線です。こうした自律的・主体的な側面とは別に、他の要素が原発を封じ込める
、他律的トレンドがあると思いますか。
 
村田
まず、アメリカが ドンドン変わりだすと思っています。最近では 米国原子力規制委員会
のアリソン・マクファーレン委員長が、原発を作るには まず廃棄物の問題を解決してから
やるように、とはっきり言いました。それから、元・規制委員のピーター・ブラッドフォード
氏は、安倍首相が海外に技術協力を求めるのはいいけれど、事故処理の主体が
東京電力ならば、日本の原子力ムラが 国際原子力ムラに代わるだけだ との発言が
伝えられております。 つまり、原子力 ムラから切り離すという意味でも、日本の
国策でやるべきだ、と示唆したわけです。 しかも、アメリカの エネルギービジネスに
おいては すでに安全対策強化により、原発はコスト的に劣勢ですし、テロの危険
にも怯えている始末です。
 
高橋
アメリカは シェールガスが価格破壊を起して、すでに原発が5基程度止まっていますね。
 
村田
そうです。そして ビジネスに限らず、世界の良識こそが 他律的なトレンドとして
日本に影響を与えるでしょう。マハティールさん(マレーシア第4代首相)が、事故以来
3通も手紙をくれました。そこには、原子力は 人類が まだ制御できないし、核反応
は起こせても 放射能の無効化はできない、だから これまで きっぱりと拒んできた、
と書いてありました。
彼は、私が所属する地球システム・倫理学会が提唱している国連倫理サミット、そして
3月11日の地球倫理国際日に 大賛成と、エールを送ってくださいました。
最近、オバマ大統領、国連事務総長に メッセージを書きましたが、それは、国際的な
多数良識派有志依頼を受けたものです。世界の良心は、すでに国際トレンドの基盤を成しています。 さもないと、世界は 終わるわけです。
 
高橋
アメリカの原発衰退のトレンドは、シェールガスの台頭が背景にあります。こうした、コスト
問題が日本にも影響を及ぼすのでしょうか、或は、相変わらず総括原価方式で、
国民は分からないまま過ごすのでしょうか。
 
川内
電力システムの方向性は、経産省が管轄する「電力システム改革専門委員会」で
決めるのですが、総括原価方式は当面の間 残す
と はっきり方針化されています。
 
高橋
そうですね、2012年2月から 1年間12回開催された同委員会では、総括原価方式
の維持を早々と決め、後は 発送電分離が どんどん形骸化される、電力会社に
とって都合のいい議論だけがされました。昨年2月に、報告書が書かれています。
 
経産省:「電力システム改革専門委員会」議事録
 
川内さん3.2.jpg川内
日本のLNG(天然ガス。熱効率が最も高く、
ベース電源やピーク時をもカバーする火力発電
にも使われる)の最大の購入者は 東京電力
です。彼らには 総括原価方式があるので、
いくらの値段で買おうが構いません。総括
原価方式は、コストにパーセントを掛けて
利益を決めるので、高い値段で買う方が
彼らは儲かるのです。 LNGを安く買うという
インセンティブ(モチベーションを誘引するもの)は、
まったく、ないわけです。
  
 
 
高橋
財務省貿易収支赤字になるいうのは、火力発電の電源構成比が上ったから
だと言っています。昨年の輸入総額の内、7%程度(LNG:原油=7:3)が火力発電
のために化石燃料の輸入がされました。
ただし、メーカーなどの大企業は 自社で火力発電所を所有しており、すでに 原発
54基分以上の発電力を持っています(企業5582万Kw、原発4353万Kw)。 この分
を考慮すると 輸入総額の 7%の内、2~3%は 直接大企業が 自家発電に使い、
残り5~4%程度を電力会社が使っていることになります。同じ購入価格と言うこと
が前提ですが。
 
川内
そうですね。大企業は 電力を自家発電でまかなっても、圧倒的に数の多い中小
企業にとっては、電力会社の電気料金値上げは 大きなコスト圧力になります。
電力会社にとって 最も大きな収入源となっている 家庭も負担が増大しています。
問題は、そうした事実を積み上げながら、「 原発を動かさなかったら、値上げ
するぞ、日本経済がだめになるぞ 」と脅しをかけていること自体が、非道徳な
ことなのです。そもそも、もっとも発電に使われている LNGを、政府や産業界で
まとまって安くする交渉をすることこそが、日本経済のために必要なわけです。
 
 

■マスコミの果たす役割

高橋
国民は、経済がだめになる、という脅しには弱いですね。二つの選挙で 自民党が
生き返ったのも、原発に不安な気持ちは強い のだけど、長期的な不景気には
こりごりだという思いが、かなり働いていたと思います。
 
村田
今日にでも 強い地震が来て、原発がどうなるかわからないときに、多くの国民に
危機感が絶無 というのは マスコミの責任だと思います。
 
川内
本来は、マスコミの果たすべき役割は、複雑な現代では とても重要なものだと思い
ます。しかし 彼らは、記者クラブに居座って、政府、大本営が発表するペーパーを
そのまま ニュースの記事に書いているのですから、まったく その機能を果たしていま
せん。真のジャーナリズムがないと、世の中はおかしな方向に行ってしまいます。
 
村田
そのマスコミが報じなかった、重要なことが 幾つかあります。核戦争防止国際医師
会議(IPPNW。1985年ノーベル平和賞受賞)が、これまで核兵器だけに反対して
いたのですが、昨年(2013)の6月に ついに 原子力の平和利用、つまり 原子力
発電 に反対の立場を打ち出したのです。
私は、すべての主要なマスコミに知らせましたが、一切、報じられませんでした。
それから ユネスコクラブ世界連盟が 昨年3月に、3月11日を地球倫理国際日として
公式に提案しました。 また、昨年11月ウイーンで開催された世界宗教者会議は
放射能の脅威から すべての生き物 及び未来の世代を守るよう訴える宣言文を
採択したのです。マスコミは こういうことを報じないのですね。
 
 

■来年、何をするか

高橋
さて、今年は自民党が原発の再稼働に向けて全力でやってくる、大変厳しい年
になりそうです。そうした中で、お二人は 何をしていいきますか。
 
川内
私は これまで 福島原発事故の原因について、地震で配管が損傷したのではない
か、と調査して来ました。1号機の中に、民間人としては 初めて入り、配管損傷に
関する有力な証拠となる映像も撮ってきました。一つ目は、引き続き、この調査
を続けて、事故の原因を明らかにしていきます。
二つ目は、大規模集中型の原発は、これからの地方の時代、中小企業の時代、
或は 生活者の時代には合わないわけです。 小規模、分散型、地産池消型の電源
・エネルギーというものを 各地に、地域の人々の手によって作りだしていく必要が
あります。私は 中小企業のみなさんと組んで、天然ガス火力発電所を設置したり、
或は 地元が鹿児島で地熱の宝庫ですから 地熱発電所を設置したりしたいです。
こうやれば、ほら 地域は良くなりますよ と言葉ではなく、実際に取組むつもり
です。
 
村田
私は 最近、『核廃絶に向けての日本の歴史的使命』 という文章を オバマ大統領
に送りました。その中で、国際タスクフォースの設立 及び事故処理の国策化の必要性
を訴えました。国連事務総長には、福島の教訓を学ばなければ 電力会社によって
世界の命運は左右されるとの警告を伝えました。
そして、ケネディー駐日大使には、日米関係において核廃絶は中心的協力分野に
なりうると考えを伝えました。
今年は、3月に開かれるユネスコクラブ世界連盟のニューヨーク総会に 私は招かれて
いますから、「核兵器のない世界」を唱える オバマ大統領に「核兵器も、原発もない
世界」にまで そのヴィジョンを高めてもらうように働きかけたいと思います。
核廃絶の実現には、「力」の父性文明から 「和」の母性文明に変えること、
そのために地球倫理を確立することが必要です。従って、国連倫理サミットの
開催は 核廃絶への入り口です。オバマ大統領に このため イニシャティヴを取られ
るよう訴え続けます。
ケネディー駐日大使は 昨年末、長崎を訪問されました。大使の日本での活躍に期待
したいです。
 
高橋
お二人のご活躍に、心から期待します。さて最後に、そうした難しいことができない
普通のお父さん、お母さんは どうしたらいいでしょうか。
  
川内
「忘れない」ことだと思います。忘れてはいけないことが、人生の中にあります。
福島の事故は、絶対に忘れてはいけないことです。みんなが、忘れずにいたら、
必ず脱原発の社会は実現できます。だから、忘れないことが、何よりもしなければ
いけないことです。
  
村田
福島事故が世界に示したことは、原発事故は一つの国家、或は 電力会社では
解決できないということです。原発を 多数抱えた国家の国民として、福島で 或は
県外で、いまだ避難生活を強いられている 14万人の方々の苦しみに、想像力を
働かせてほしいということです。家やふるさと、仕事、友人などすべてを失う想像
を絶する生活の悲惨さを考えてほしいです。
  
川内
私、嫁の誕生日を忘れて、めちゃくちゃ、怒られることがあります。でも、この原発
事故は、ぜったい(強調)、忘れてはいけないことです。(爆笑)
 
 
                                                 (おわり)
 
 

千葉県~降下物

$
0
0
      測定場所: 千葉県環境研究センター
                                               放射性セシウム
         採取期間                   ヨウ素131     セシウム134  セシウム137    
平成25年11月1日~12月2日
 
(0.17)
1.1
(0.055)
2.4
(0.053)
平成25年10月1日~11月1日
 
(0.26)
0.96
(0.058)
2.0
(0.044)
平成25年9月2日~10月1日
 
(0.20)
0.72
(0.056)
1.5
(0.047)
平成25年8月1日~9月2日
 
(0.18)
0.89
(0.056)
1.9
(0.044)
平成25年7月1日~8月1日
 
(0.18)
0.82
(0.054)
1.7
(0.044)
平成25年6月3日~7月1日
 
(0.17)
0.98
(0.056)
1.8
(0.043)
平成25年5月1日~6月3日
 
(0.21)
1.9
(0.062)
3.6
(0.058)
平成25年4月1日~5月1日
 
(0.21)
2.5
(0.067)
4.6
(0.055)
平成25年3月1日~4月1日
 
(0.25)
5.0
(0.084)
9.1
(0.062)
平成25年2月1日~3月1日
 
(0.24)
3.2
(0.073)
5.5
(0.052)
平成25年1月4日~2月1日
 
(0.28)
1.5
(0.065)
2.6
(0.052)
平成24年12月3日~平成25年1月4日
 
(0.52)
2.7
(0.071)
4.4
(0.055)
平成24年11月1日~12月3日
 
(0.28)
2.3
(0.073)
3.8
(0.054)
平成24年10月1日~11月1日
 
(0.23)
1.0
(0.063)
1.6
(0.050)
平成24年9月3日~10月1日
 
(0.17)
1.6
(0.068)
2.4
(0.052)
平成24年8月1日~9月3日
 
(0.23)
2.7
(0.075)
4.0
(0.051)
平成24年7月2日~8月1日
 
(0.18)
1.9
(0.065)
2.7
(0.049)
平成24年6月1日~7月2日
 
(0.23)
2.0
(0.083)
2.8
(0.049)
平成24年5月1日~6月1日
 
(0.32)
3.7
(0.090)
5.1
(0.057)
平成24年4月2日~5月1日
 
(0.25)
3.9
(0.093)
5.4
(0.068)
平成24年3月1日~4月2日
 
(0.18)
9.5
(0.14)
15
(0.13)
平成24年2月1日~3月1日
 
(0.58)
8.0
(0.13)
11
(0.11)
平成24年1月4日~2月1日
 
(0.13)
7.1
(0.12)
11
(0.11)
平成23年12月1日~平成24年1月4日
 
(0.26)
13
(0.15)
18
(0.13)
             計                           78.97  123.9                                               
 
降下物(ちり、雨水等)の核種分析結果(平成23年3月18日~12月27日)
 
      県環境研究センター
 
 
 

放射線健康不安~環境省・福島県(5)

$
0
0
(4)のつづき
 
放射線の健康影響に関する専門家意見交換会(第3回)
 
  ビデオ       2013年 12月21日(土)
   講師:鈴木眞一氏、津田敏秀氏      
 
  講師、専門家(県・市町村アドバイザー)による意見交換    1:56~
     司会: 環境省環境保健部放射線健康管理担当参事官 桐生康生 (厚労省出向)
 
  テーマ
   1.被曝線量について 
   2.100m㏜以下の健康影響について 
   3.福島県甲状腺検査結果のがん発見率について
   4.今後の対策について
 
 
 1.被曝線量について
   ① 実効線量 と (甲状腺の)等価線量の区別
   ② 広島長崎 と フクシマの被曝線量を一緒にして論じられるか
 
 
  実効線量については、第13回県民健康管理調査の資料2 4/17で提示された
 「基本調査提出者の実効線量推計内訳」がある。
   鈴木:(言葉がこもっていて聞き取りにくい外部被曝は もちろん 参考になるが、
        それ以上に重要なのは 甲状腺の等価線量。
        チェルノブイリに比べると 極めて低い。
   津田:等価線量については、WHOが 2012年4月 推定値を出している。
 
   細井義夫:甲状腺がんということを考えるならば、やはり等価線量で評価
     しなくてはならない。甲状腺の等価線量への寄与は、初期のプルーム
     をどれだけ吸ったかによる。この解析は、2013年の鈴木先生の発表が
     ある。
      ・平成24年12月3日第2回緊急被ばく医療に関する検討チーム
                         会議資料 議事録 会議映像
 
  100m㏜以下の健康影響の考え方について。
 
   **:100m㏜以下と言っても 幅が広い。というのは、鈴木先生のデータでは 
     随分少ない。 1,2m㏜を 70や80m㏜と 同じように考えてよいものか? 
 
   津田:放射線の発がん影響は けっこう直線的なので、低くければ低いほど
     発がんリスクは低くなるというのは 良いと思うけれども、ただし、甲状腺へ
     の被曝量は、WHOの推計値では 若干高くなっているし、アメリカ国防総省
     のデータでも けっこう 高い。
 
   **:数m㏜の話を 1から100まで 十把一絡げで心配するような言い方は
     どうか? 実際は、70や80と比べたら低いという言い方をしてほしい。
 
       津田:私が言ったのは、「100m㏜以下は がんが出ない」という風に メディア
              の方も官僚の方も信じておられる、これはマズイだろう。これでは 全然
      リスクアセスメント、リスクコミュニケーションできない。これが間違いだということを、
      まず 示さないと 被曝線量が低くなればなるほど、癌のリスクは少なくなる
      という議論さえできなくなる、ということ。
 
   松井英介:チェルノブイリの場合は、土の調査を まずやっており、γ核種だけ
      ではなく βorα核種についても調査した上で、そこから㏜値を導き出し
      ている。元になっているのは ㏃。 ㏃が元になって ㏜値が出されている。
       それに対して、日本の場合は あくまでも 広島長崎も γ線量だけだし、
      ヘリコプターからの測定も γ線を計っている。 両者に大きな違いがある
      ということを、まず確認したい。
                                松井意見書  2011年10月28日
 
       細井:事実の誤認があるようだ。広島長崎は γ線だけでなく中性子線も
      計っている。また、日本における 内部被曝の線量評価は γ線だけでなく、
      α線放出核種も きちんと評価された上での値。ただ、結果だけ出ている
      という点で誤解を招きやすい。
 
   松井: 広島長崎は 仰る通り。ただ 主にγ線の影響が評価されている。
      また、原発事故においても、基礎になっているデータは やっぱりγ線を
      計っている。チェルノブイリと比較するときも、そこは キチンとしておくべきだ。
                                        2:12:15
   鈴木: 津田先生の話の中で 低線量被曝について、CT スキャン の発癌率が
       あった()。あの論文は 非常に偏った論文ではないかと言われて
       いるが、もう少し シッカリした傍証がないと、これだけだと 我々 日常診療
       でも差支える表現になっている。皆さんのお考えを聞きたい。
   芥川一則: 私も門外漢だが、津田先生の示されたデータは チョット偏ったもの
       ではないかなという感じを受けた。 なぜなら、全く 健康な人に CTを
       当てることはない。なにがしかの疑いがあって CTスキャンを撮っている
       わけで、集団自体が すでに病気になっている可能性が高いことは
       否定できないが、どうか?
   津田: CT スキャンの論文の考察と方法論を読んで頂いたら、そのことは
       踏まえてある。 そのこと(集団自体の特徴)では説明できない。 それに
       CTを当てた部位も それ以外の全身に(がん が)増えていっている。
        100m㏜以下でがんが増加していくというのは、この3つだけでなく、
       ~配布資料を掲げながら~ 沢山ある。実を言うと、100m㏜以下でがん
       が出ないという論文はない。統計的有意差はないという程度のことは
       書いてあるが・・・。100m㏜以下で がんが多発しているという論文は
       数えきれない。
   芥川: 「がんが多発する」という表現使われるが、この委員会100m㏜
       以下で 「がんが発生しない」という認識されている方はおられない。
       100m㏜以下でがんにはならないという議論はされたことはなかった。
   津田: ここでは、100m㏜以下では がんが出ないとは言っていないのに、
       この前の日本政府も言っているように、世間では「でない」と取っている。
   芥川: そうとは、私は思っていない・・・。
   津田: 日本政府が 国連機関に宛てた文書に、100m㏜以下被曝であれば
       他の影響による がんよりも顕著ではない、もしくは 存在しないと信じ
       られている と言っている。私は これを聞いてたまげた。 それで、
       この議論を まずしないと 政策を補うという話にはならないだろう と。
   芥川: それは 言い方・表現の問題だと思っている。ただ、この委員会の中で
       100m㏜以下で がんにならないと認識されている方はおられないという
       ことだけは伝えたい。
   津田: はい、そのように 3月の会議のときに合意されたと考えている。
 
   △△: 100m㏜以下で がんが沢山 出るという論文は山ほどあると仰るが、
       ただ ご存じのように アプリケーションバイアス というのがあり、「有意差が
       なかった」というのは、普通は論文にならない、そういう研究は。そこを
       はっきり仰らないと、どの論文もみな出ているという議論をなさるのは
       適切ではない。      アプリケーションバイアス:?? 認知バイアス - Wikipedia
   津田: ~ニコニコしながら~ 沢山 出てます。「有意差がなかった」という論文も。
 
   **: 医療現場では、ころんで頭を打った、それで 撮らなくていいのに 撮って
       くれと。脳外科だいたいCTを撮る。それは 何かあった時に 後で訴え
       られたら困るという・・・、医療現場では そういうのがある。
       それで、100m以下で がんが 多発するということになると、何年か後に
       誰かが訴えて 集団訴訟・・・ということがあり得るかもしれない。
       100m㏜以下を否定はしないけれども、同じレベルではないということを
       必ず言ってもらわないと、数m㏜と同じように思われると・・・チョット。
   津田: 日本は 先進諸国の中では 断トツの CT使用国であるという問題点
       が指摘されている・・・。
 
   細井: 津田先生に チョット お願いしたい。前半の所で 100m㏜以下は有意差
       はないから発がんがないということで 色々議論されているが、「専門家」
       と十把一絡げに書いてある。私は 放射線生物学をずっとやってきた者
       だが、放射線生物学をやってきた者で 100m㏜でがんが出ないという人
       は誰もいないし、ここにいる専門家で そういう人はいないと思うが、
       一般のマスコミ とか他の所で取り上げられる専門家というのが、本当に
       専門家なのかというような人が 色々議論している。 本物の放射線の
       専門家 と 放射線の専門家でない人が放射線の専門家みたいなことを
       言っている人もいるので、その点 きちっと記述して頂きたい。
   津田: 専門家という言葉を これからは使わないようにする。私は 専門家
       で100m㏜以下で がんが出ない と言っている人を知らない。せいぜい
       100m㏜以下は分らないという程度で・・・。でも 世の中の人は そういう
       ふうに言っていて、日本国の国連への対応までつながっている。
       この見出し(2)が不適切でしたら、また変更させて頂きます。
   ○○: 専門家と称する方で、100m㏜以下では がんがでない と 堂々と
       述べていらっしゃる方は、過去に 何人もおられまして、そういう論文も
       ある、それから 人を惑わすような ウソを言っておられる方もいるという
       ことを、私は存じております。( ざわざわ、1,2拍手
 
 
 
 
  
 
       
 
 
 
     
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                           (未完成)
 

 
■ 小児甲状腺被ばく調査結果に対する評価について  原子力安全委員会 平成23年9月9日
   資料1  被ばく線量の評価について
      
1/4  2/4  3/4  4/4
 
■ Journal of the National Cancer Institute, Vol. 97, No. 10, May 18, 2005
  Risk of Thyroid Cancer After Exposure to 131 I in Childhood
     (子供における ヨウ素131被曝後の甲状腺がんのリスク)
                        http://t.co/3w2v2Avz 
            カーディスの症例276人のグラフよりエクセル化 元データは→(PDF) http://jnci.oxfordjournals.org/content/97/10/724.full.pdf
■ UNSCEAR 2006報告 (PDF)http://t.co/wK9ThJ6W 
       ――― 甲状腺がん P108
 
    『「第3回放射線の健康影響に関する専門家意見交換会」を考える』
 
 
 

今中哲二さんインタビュー

$
0
0
通販生活ロゴ    
バックナンバーへ 今週の原発
今中哲二さんインタビュー     2013.4.9    
  ☝ 目の薄い方は こちら(次のページへ」をクリック)でご覧ください
 
 
 これは ほぼ1年前のインタビューだが、今も 少しも古くはなっていない。
 
 国・自治体の対応は 的外れで、倫理性や責任感の欠如による 怠慢も多く、
 各局面で さらに重篤さを深めているのが、フクシマである。
                                      合掌
   
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
Viewing all 1047 articles
Browse latest View live